お金の心配など一切ない、まさに順風満帆な老後の生活。しかし、それでも予想外のことが起きるのが世の中の常。しかもその原因が我が子によって引き起こされることもあるようです。元公務員夫婦のもとに起きた、まさかの出来事とは?
何かの罰なのか?〈年金2人で33万円〉70代の元公務員夫婦、花鳥風月を愛でる毎日に暗雲。原因は同居する39歳息子宛に届いた「日本年金機構からの最終警告」 写真はイメージです/PIXTA

元公務員夫婦…穏やかな毎日を送っているが

野村誠さん(仮名・71歳)・洋子さん(仮名・70歳)夫婦。地元の役所勤めの公務員同士だったというふたりの定年後の生活は安定そのもの。仕事を辞めてからはまったというガーデニングが共通の趣味で、大切に育てた草花を眺めながら、季節の移ろいを楽しむ。花鳥風月を愛でる毎日が穏やかに過ぎていました。

 

そんな日々が可能なのは、お金の心配がないから。退職金はふたり合わせて4,500万円ほどもらい、コツコツと貯めた貯金は2,000万円ほどあります。しかし、月々の年金が夫婦合わせて33万円、手取りで28万円ほどあり、手付かずだといいます。

 

――最近はもっぱら次男のところの孫のためにお金を使っていますよ。あまり甘やかすなと怒られていますが(笑)

 

厚生労働省『2023年 国民生活基礎調査』によると、高齢世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答。前年48.3%から10ポイント以上も上昇しました。その大きな要因が止まらない物価高。一方で支給される年金額は増えてはいるものの、物価上昇分を超えることはできず、実質減額。年金への依存度が高い高齢者を中心に生活は困窮しています。

 

*「大変苦しい」26.4%と「やや苦しい」33.1%の合計

 

悠々自適な老後を送ることが難しくなるなか、長期的な視点で資産形成をしてきた野村さん夫婦は、いまや人生の勝ち組といったところでしょうか。しかし野村さん夫婦にも悩みのひとつやふたつ、あるといいます。そのひとつが、同居する長男、和也さん(仮名・39歳)。30歳を前に脱サラし、実家に戻ってきました。どんなビジネスをしているのか、説明をされましたが難しくて覚えていないといいます。わかっているのは、「生活費を浮かしたいから、実家に戻ってきた」ということ。

 

――私たちが公務員だった反動だからでしょうか、昔から長男は「安定していなくてもいい。面白いと思える仕事がしたい」といっていました。その答えが独立だったようです。私たちも応援はしているのですが、ちゃんとやれているのかどうか……よくわからないのですよ