
60歳定年の元教頭。久々の現場に意欲も高かったが…
元中学校教師だった岩崎浩之さん(仮名・65歳)。40代後半で教頭になったのち60歳で定年を迎え、再任用教員として65歳まで教師生活を続けました。再任期間の5年間は惨めな思いをしたといいます。
――60歳で教頭の役職からは降りて、ほかの教員と同様にさまざまな校務や部活動の指導もこなしました。ただ給与は月25万円程度と、それまでの半分程度に……生活に困るようなことはありませんがビックリしましたね
【公立校の教師の平均月収】
幼稚園…27万4,700円(平均勤務年数:14.0年)
小学校…32万2,800円(平均勤務年数…16.2年)
中学校…33万7,700円(平均勤務年数:17.8年)
高等学校…35万3,800円(平均勤続年数:18.4年)
出所:文部科学省『学校教員統計調査 令和4年度(確定値)』
とはいえ、教頭からいち教員となり、再び現場に戻れることに喜びを感じていたといいます。
――子どもたちの成長に係ることのできる尊い仕事だと思ったことが、教員になった理由。原点ともいえる部分に再び携われることができ、最初はまだ意欲も高かったのですが……
再任となった先輩が口うるさく後輩たちに指導していたことから「老害」と陰口を叩かれていたのを反面教師に、人間関係には気を付けていました。それでも現場でやる気を出せば出すほど、どこからともなく「面倒なやつ」と思われていると感じたといいます。
――管理職含めみんな年下ですから、お互いにどうしてもやりにくさはある
さらに、たまたま耳にした教員の間での陰口も耳に入ってきました。
――あの人、校長にはなれなかったんだよね
岩崎さん自身、現場にこだわりたい気持ちが強くありましたが、当時の上司に勧められ、ある意味仕方なく試験を受け、教頭になりました。校長職には興味がなく、自分の意志で試験を受けることはありませんでした。そのような事情を知らず、「校長になれなかった」という言い方にはカチンときたといいます。ただ余計な衝突を生みたくないと、何をいわれようが耐えてきました。そんな日々は「ただ惨めだった」と振り返ります。