残される家族が困らないようにと、万一を想定して準備をする終活。始めるきっかけは人それぞれですが、そこには子を思う親の優しさがあふれています。ただその想いに気づくことができるかは別問題のようです。
〈時給1,250円〉週2で自由気ままに働く55歳ひとり息子、〈年金月13万円〉79歳母の遺産を頼りにしていたが…母の終活プランに思わず絶叫「どう生きていけというんだ!」 ※写真はイメージです/PIXTA

80歳を前に人生の終わりを意識

高田京子さん(79歳)。5年前に夫(享年80歳)を看取り、今は55歳になるひとり息子、哲也さん(仮名)と2人暮らし。最近になり終活について真剣に考え始めたといいます。

 

――この年になるといろいろ面倒だから、物事を進めるのが大変。もっと早く始めるべきだったと反省しています

 

人生の終わりについて考える活動である終活。住まいや資産の見直し、医療・介護や葬儀、お墓の準備、不用品の処分……何をするか、すべきは人それぞれですが、基本は、遺された家族が困らないようにすること。自身に万一のことがあった際に何をしてほしいのか等、最終的にエンディングノートに記すのが定番です。

 

――いつまで元気でいられるかわからないし、いつまで頭がクリアでいられるかどうか。80代になる今が終活をする最後のチャンスかもしれませんね


 

【自身の死や死後の準備をしている人の割合】

・扶養している人の生活…37.8%

・資産(持ち家など)や負債の整理…40.6%

・自分の葬儀や墓のこと…46.5%

・自身の後見人・補佐人の選定…27.3%

・人生の最終段階で受けたい医療…32.0%

出所:国立社会保障・人口問題研究所『2022年生活と支え合いに関する調査』

 

京子さん、終活をしようと思い立ったのは55歳のひとり息子の存在。哲也さんはこれまで一度も実家を出たことがないばかりか、仕事もろくにしていないといいます。

 

――今はコンビニでアルバイトをしているみたいです。週2回程度。時給1,250円で、月7万円くらいになるといっています。ただそれは自分への小遣い。生活費は基本私の年金で賄っています。

 

京子さんの年金は、自身の基礎年金と、亡くなった夫の遺族年金を合わせて月13万円ほど。親子2人なら暮らしていける金額ですが、自分がいなくなったらこの子はどうやって生きていくんだろう……終活を始めたきっかけです。