義親と同居を提案されたら、どうしますか? 適度な距離感があったほうがうまくいきそうですが、「二世帯住宅」しかも設備はすべて別々の「完全独立タイプ」ならどうでしょう。しかも費用負担は一切なし。「これ以上、よい話はない」と飛びつく人もいるのでは。しかし、何事も想定外のことは起きるようで……。
二世帯住宅だからいいでしょ?玄関もお風呂もすべて別よ。建替え費用「3,500万円」すべて義親払いで同居開始も…〈68歳義母〉の甘い罠に引っかかった〈34歳嫁〉の大後悔 (※写真はイメージです/PIXTA)

義母からの同居の誘い…嫁OKまでの心の内

義親と同居することになった今井香織さん(仮名・34歳)。友人たちからは「義親と同居なんて、やめておきな」と何度もいわれたといいます。

 

同居のきっかけは、築40年の義実家の建て替え。

 

――お義母さん(68歳)から「二世帯住宅にするから一緒に住まないか」という話があったんです

 

香織さん夫婦、子どもは男の子ふたり。元気いっぱいで遊びたい盛り。賃貸マンションでの暮らしには限界を感じていました。また上の子は来年から小学生。マイホームを実現するなら進学前、という思いがありました。そこに同居の誘い。当初、香織さんは義親との同居に対してはネガティブでしたが、段々と乗り気になっていったといいます。

 

――玄関もお風呂も別々にするから、二世帯住宅といっても別々の家みたいなもんよ

 

二世帯住宅には大きく3つのタイプがあります。まず「完全同居タイプ」。生活の設備や部屋を親世帯と子世帯で共有する間取りです。「一部共有タイプ」は、玄関など一部の設備は共有しながら、お風呂等の設備は分けるタイプ。1階と2階で世帯を分けるタイプが多いようです。そして「完全分離タイプ」。すべての設備を世帯ごとに独立させる間取りで、将来的に賃貸併用住宅にすることも可能です。

 

想定している間取りをみせてもらいました。二世帯住宅とはいえ十分な広さがあり、子ども部屋も将来的に2つ確保できる間取りというのも心惹かれたといいます。さらに「建て替え費用は3,500万円ほどかかるけど、すべて私たちが出すから」という言葉が最後の後押しになりました。

 

――20年や30年といった住宅ローンの返済を覚悟していました。それがなくなるというのは、本当にありがたいことでした

 

【世代別・住宅ローン残高】

20代…887万円/0円

30代…1,851万円/1,624万円

40代…1,813万円/1,500万円

50代…928万円/600万円

60代…733万円/120万円

70代…233万円/0円

出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)』

 

ひとつ屋根の下に義理がいるとはいえ、別々の家のようなもの。しかもローン負担はなし。「これは絶対お得な話だ!」と乗ることにしました。