(※写真はイメージです/PIXTA)
低収入、低年金が確定的な「氷河期世代」
2024年時点で、40~54歳だった人は、就職氷河期世代にあたります。1993年から2004年ごろに入社した人で、ちょうどバブル崩壊や金融危機と、日本経済がどん底だったときに就職活動を行いました。この世代は大学を卒業しても就職できなかった人たちが多数。非正規社員で働いた期間も多く、自ずと生涯年収は低くなります。生涯年収が低いということは、それだけ将来受け取れる年金が少なくなり、老後、生活に困窮するリスクが高まるということです。
その分、貯蓄があればいいのですが、収入が少ないのに貯蓄があるはずがありません。「氷河期世代は詰んだ……」といわれるのは当然のことといえるでしょう。日本経済がどん底だったときに、人件費の削減圧力が強まり、今なお続いています。その影響を一番に受けたのが氷河期世代なのです。
次々と高齢者が供給される2040年代の日本で起きること
超高齢化社会の日本において、2040年代の日本で起こるとされている2040年問題。これは1971~1974年に生まれた団塊ジュニア世代が65歳を迎え、日本の総人口に占める高齢者の割合が35%を超えることにより起こるであろう諸問題を総称したものです。この団塊ジュニア世代から始まるのが就職氷河期世代。団塊ジュニア世代を頂点として徐々に人口ボリュームはしぼんでいきますが、それでも各年齢150万人程度と現在の2倍近くいます。それだけの人が毎年高齢者になっていくわけですから、社会に与えるインパクトがどれだけ大きいか想像に難くありません。
人口ボリュームが大きい世代が一気に高齢者となることで労働人口が急減。税収減少で財政がひっ迫するリスクが高まります。また医療・介護ニーズが高まるも人材確保が大きな課題となり、医療・介護難民が街中にあふれるという予想も。さらに高度成長期にから70年代は、日本のインフラが急ピッチで整備されていたとき。それらが次々と寿命を迎えようとしていますが、更新がうまくいっていない例は多く、埼玉県での道路陥没はその一例。同じような事故が全国で多発すると警告する専門家も。
このように人口に起因する社会問題。必ずくる悲劇的な未来で生きていくためにも自助努力が求められていますが、氷河期世代はすでに詰んだ人たちが大勢いる世代。本来、日本の社会保障制度は現役世代が高齢者を支えるように設計されていますが、高齢者となった氷河期世代を支えられるわけがなく……「選択肢は氷河期世代の救済に見切りをつけて、その先に新たな日本をつくること」という声も。何とも極端な意見ではありますが、直近では賃上げに期待できず、その先の社会保障も絶望的。氷河期世代、すでに見捨てられたといっても過言ではない状況です。
[参考資料]