(※写真はイメージです/PIXTA)
特養に入居!重い介護負担から解放のはずが…
真由美さん、数日はまったく動けず。その間、夫や兄弟たちが義母の世話をしてくれたといいますが、そこで介護がどれだけ大変か、身をもって体験することに。そこで、義母の老人ホーム入居という話が急浮上しました。
――やっぱり介護はプロに全面的に任せたほうが、母さんも快適だと思うんだ
どこかで本人や夫、義兄弟たちが「老人ホーム」というキーワードを出すことを望んでいた真由美さん。心のなかで小さくガッツポーズしたといいます。
まずはどのような施設にするか。老人ホームといっても種類は多彩。どうやら費用もピンキリです。そこは長年、家計を仕切ってきた義母がぴしゃり。
――年金で費用をまかなえるところがいいわ
義母の年金は自身の基礎年金と亡くなった義父の遺族年金と合わせて月15万円ほど。考えられるのは、費用も安価な特別養護老人ホーム、いわゆる特養。主に要介護3以上の高齢者が長期的に入所できる公的な介護施設です。厚生労働省の資料によると、2023年度、全国に1万0,606件。介護需要の高まりとともに、その受け皿として増加の一途を辿っています。その費用は要介護度や所得、住んでいる地域によって異なりますが、平均的な自己負担額は月額約8万円から15万円程度。さらに所得に応じて減免措置が適用される場合もあります。ただし、問題は特養への入所待機期間。都市部では待機者が多く、数ヵ月から数年待つケースもあると聞きます。
――気長に待つしかないか
そう覚悟していましたが、宮本家が住んでいる地域では待機者は少なく、スムーズに入居することができたといいます。ぎっくり腰になってから、一気に義母が特養に入居。怒涛の展開でしたが、結婚して以来、味わったことのない解放感に真由美さんは歓喜の声をあげたといいます。めでたし、めでたし……のはずが、6ヵ月後、再び怒涛の展開が。
――義母が特養を退去し、自宅に戻ってくることになったんです。あまりの展開に、思わず絶叫しました……
前述の通り、特養は、要介護3以上の高齢者が入所対象となる公的施設です。しかし、入所後に要介護度が改善し、要介護2以下になった場合、退去を求められることがあります。これは、特養が重度の介護を必要とする方々を優先的に受け入れるための制度設計によるものです。
ほかにも「支払いの滞納」「施設で対応できない医療的ケアが必要になったとき」「長期入院」「他入居者やスタッフへの迷惑行為」により退去を求められることがあります。特養をはじめ、一度老人ホームに入居できたからといって必ずしもひと安心とはいかないのです。
介護度が軽くなって戻ってきた義母。日常的な動作は自分でできるものの、介助が必要になるシーンは多く、立ち上がりや歩行のほか、爪切りや着替えなどの日常生活でも介助が必要です。
――正直、以前とそれほど変わりません。ただ義母の年金で入ることのできる施設はそうないし……諦めるしかなさそうです
[参考資料]