(※写真はイメージです/PIXTA)
まさか義母から嫁に電話「もう無理、家に帰りたい」
最後の最後でイラっとしたものの、2年ぶりにストレスフリーな日々を取り戻した直美さん。鼻歌が止まりません。しかし、すぐに不穏な空気が漂ってきました。たまに面会に行っていた夫(=息子)から、義母の様子を聞かされていた直美さん。最初のうちは、解放感から「気楽でいいわ」と新しい環境を楽しもうとしていた義母。しかし、徐々に愚痴をこぼしだします。
まずは気に入っていた食事に対する愚痴。「食事が合わない。薄味ばかり」といいますが、要介護の入居者も多いこともあり、料理は薄味が基本。仕方がありません。「周りの人たちと会話が合わない。毎日同じ話ばかりなんだもの」といいますが、要介護者がメインのホーム。義母と同じように自立できる人はごくわずかなので、仕方がありません。「お風呂の時間が決まっていて、好きなときに入れない」といいますが、風呂は自室にはなく共同のみ。仕方がありません。老人ホームでの生活。実際には多くの制約があることに徐々に気づいていきました。
そして3ヵ月後。ある日、義母から電話。珍しいと思いつつ電話に出ると、「もう家に帰りたい……」と泣いています。あまりのことに咄嗟に言葉が出てこない直美さん。これまでの同居生活で溜まったストレス、そして義母の捨て台詞。すべてを思い出すと、簡単に「いいですよ」とはいえなかったのです。
――ここで「帰ってきてください」といったら、私はまた同じ苦労を繰り返すだけ
そう思いつつ、あの義母が泣きながら「帰りたい」といっています。よくは思っていない嫁を前にして。そんな義母に対して「嫌です」とはとてもいえません。とりあえず、ホームに対する愚痴をいろいろと聞いていた直美さん。なぜ、家に帰りたいのか、決定打を尋ねると、「……壁が薄くて、もう無理」とポツリ。「えっ、そんな理由!?」と声が出そうになったのをグッと抑えたという直美さん。隣部屋の入居者はひと際耳が遠く、テレビの音や会話などがとにかくうるさくなりがちなのだとか。
そもそも共同生活に慣れていなかった義母。ひとつ屋根の下、まさか隣人の音に悩むとは思ってもみなかったといいます。
――壁が薄くてホームを退去なんて
思いもしなかった決定打で、再び、義母との同居生活が始まりそうな気配。ため息が止まりません。
[参考資料]