(※写真はイメージです/PIXTA)
辞められない「親への仕送り」…60代で平均6.7万円
老後を見据えて資産形成に注力したいと考えている原さん。ただひとつ、懸念していることがあるといいます。田舎の実家で暮らす母への仕送りです。大学進学を機に上京した原さん。就職してからは親への仕送りは欠かしたことがありませんでした。
――最初は5,000円くらい。最近は月5万円ほどの仕送りをしています
母の年金は自身の年金と、3年前に亡くなった父の遺族年金と合わせて月14万円ほど。田舎で持ち家。贅沢できるわけではありませんが、仕送りなしでも暮らしていけると思えました。自分たちも老後に片足を突っ込んでいる立場。これ以上の定期的な仕送りは、正直きついものがあります。妻からも「そろそろ仕送りするのは辞めてもらたら」といわれています。
――よし、定年を機に仕送りは辞めることを伝えよう
そう意気込んで母に電話。3コール目くらいに母が出ます。
――かあちゃん、俺だけど
最近は耳が遠くなり、電話では会話のキャッチボールがスムーズにいきません。必然的に声が大きくなります。
――仕送りだけど、これ以上のお金……
そういうと「あぁ、仕送りかぁ。待っているんだが、いつもの5万円はいつになるんだぁ?」と母はかぶせ気味にいいます。どうやら息子が60歳定年を迎えようと、仕送りをもらえると信じて疑っていないようです。そのような相手に「これ以上お金は送れない」といえるでしょうか。
母の戦慄の先制パンチに言葉を続けることができなかった原さん。「元気にしてる?」などと取り留めもない話をして話は終了。仕送り停止の計画はいったんは破綻したといいます。
――親への仕送り、いったい、いつまで続けたらいいのでしょうか?
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、親に仕送りをしている世帯はわずか2.0%。また、60代世帯で親に仕送りをしている世帯は2.6%。1世帯当たりの平均仕送り額は月6.7万円です。介護費や医療費の自負負担額が増えるからでしょうか、自身の年齢=親の年齢があがるにつれて仕送り額は増えていきます。
【年齢別・親に仕送りをしている世帯の割合と平均仕送り額】
20代…2.75%、3.9万円
30代…2.69%、5.2万円
40代…3.19%、4.9万円
50代…3.84%、5.4万円
60代…2.62%、6.7万円
70代以上…0.34%、8.7万円
――月5万円……これ以上は本当に無理です
老後を見据えて加速させたい資産形成。早くも暗雲が立ち込めています。
[参考資料]