(※写真はイメージです/PIXTA)
友人から親子関係について指摘「それって、共依存っていうんじゃない?」
現在、都内の会社で事務職として働く恵子さん。給与は月収42万円、年収650万円ほど。対し、信子さんは月12.5万円のほどの年金(自身の基礎年金と、亡くなった父の遺族年金の合計)を受け取っています。基本的に家計のやりくりは恵子さんの給与で行っています。
――母が年金を受け取り始めたころからでしょうか。経済的にすべてを私に頼るようになったのは
「年老いた親の面倒をみるのは子の義務」。多かれ少なかれ、そのような古くからの考えが親子、双方にあり、特段疑問に感じなかったと恵子さん。しかし大学からの友人に、「そういうの、共依存っていうんじゃない?」と指摘されてから思うところがあったよう。
「共依存」は、依存者と共依存者が強く依存し合い、自分自身を見失ってしまう関係。共依存関係にある親子の場合、自立する年齢になってもお互い離れることができなかったり、経済援助が当たり前だと思っていたりするのが特徴で、自覚すらしていないことが多いといいます。
それまでは、母に世間でいわれている毒親の傾向にあり、ただ母の意見に折れてきたと思っていました。しかし友人に指摘され、ただ親離れ・子離れができていないだけと思うようになったといいます。さらには「母のせいで人生を諦めてきた」という思いが強くなったといいます。だからといって父が亡くなった今、恵子さんが実家を出てしまえば高齢の母はひとりになってしまう……結局実家を出るという選択肢がない、という結論に至りました。しかし、信子さんが発したひと言が恵子さんを突き動かすことに。
きっかけは些細な親子喧嘩。ただお互いがヒートアップしていき、言葉が荒くなっていきました。そして売り言葉に買い言葉かもしれませんが、信子さんが「私はあなたを生んで人生を棒にふった」「何もかもうまくいかないのは、あなたのせいだ」と絶叫。恵子さんは「母はそんなことを考えて生きてきたんだな……」と、急に悲しくなり、急にどうでもよくなったといいます。
――お母さん、もう無理。これ以上、一緒に暮らしたら、ふたりとも不幸になる。ごめんね……
親子喧嘩の次の日、恵子さんは会社近くの賃貸マンションを契約。最低限の荷物をもって家を出ることにしました。
――母の年金だけでは生活はしんどいでしょうし、これからも経済的に支えるつもりです。ただ私を生んで人生が台無しになったなんて思ってほしくない。私も人生を諦めたくない。そのためにも、まずはお互いに精神的に自立しないといけません
50代半ばにして、大きな転換期を迎えた恵子さん。「今からでも遅くない」と、婚活もスタートしたといいます。
[参考資料]