会社員としてどれだけ高収入だったとしても、厚生年金の加入期間が短ければ、公的年金の受給額は少なくなる可能性があります。年金は収入の多さだけで決まるものではなく、どれだけ長く保険料を納めたかが大きく影響するからです。これは多くの人が意外に知らない公的年金制度の仕組みかもしれません。今回、現在は高収入の55歳会社員男性を事例に、公的年金の仕組みと取れる対策について南真理FPが解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
年収1,000万円なのに…名門大学院卒の55歳会社員夫と暮らす専業主婦、老後も安泰のはずが一転、夫の年金見込額「月9万円」の想定外に絶句【FPの助言】
夫は年収1,000万円の会社員なのに…想定よりも少ない年金額に驚愕
池田咲子さん(55歳、仮名)の夫・洋祐さん(55歳・仮名)は、現在年収1,000万円の会社員として都内に勤めています。咲子さん自身は専業主婦ですが、夫は世間一般的に見ても高収入。そのため、老後資金については特に心配することなく暮らしていました。
しかしある日、ふと夫の誕生月に届いたねんきん定期便を見て驚きました。なぜなら、そこに記載されている年金見込額が月10万円にも満たなかったからです。
実は、洋祐さんが会社員として勤め始めたのは50歳からのこと。洋祐さんは学生時代にAIデータサイエンス分野を学び、優秀な成績を収めました。名門大学の大学院を卒業後、恩師である教授の誘いを受け、起業プロジェクトに参画。そして、そのままフリーランスとしてキャリアをスタートさせました。
そして、50歳のときにこれまで関わりのあった企業からのオファーを受け、年収1,000万円という好条件もあって、60歳まで会社員として勤務することに決めました。
このようにフリーランスの期間が長いと厚生年金の加入期間が短くなり、結果的に年金受給額が少なくなるケースがあるのです。
フリーランスで働いているときもお金に困ることはなく、さらには安定した収入がある今、「老後も問題ないだろう」と考えていた池田さん夫婦。しかし、年金額の少なさに驚きと落胆を隠せずにいます。会社の在籍期間が短いことから、退職金もそう多くは期待できません。一体どうすればいいのでしょうか。