ひとり暮らしの高齢者は全国で700万人を超えるとされ、その数はさらに増加傾向にあります。またひとり暮らしの高齢者の場合、孤立や孤独死のリスクが高くなるといわれています。そして孤立化する高齢者の多くは生活苦に陥っている、というのもよくある話です。
生きているだけで辛いです…〈年金月12万円〉75歳男性、足腰限界で働けず、エレベーターなし・家賃2万5,000円の「市営団地」に引きこもる壮絶な老後 (※写真はイメージです/PIXTA)

足腰が痛く引きこもり状態に…高まる孤独死リスク

年とともに足腰が悪くなっていったという岡田さん。75歳を超えると、立ち仕事はつらくなり、アルバイトを辞めることに。デスクワークならとは思いつつも、自分に務まるものがあるわけがないと諦め、完全引退を決めました。

 

現在、岡田さんが住むのは1DKの市営団地の2階。家賃は2万3,000円。住居費は最大限抑えているものの、やはり年金10万円だけでは生活が苦しいといいます。さらに階段の上り下りも辛く、仕事を辞めてからは外出を避けるようになりほとんど家を出ることもありません。

 

――近くのスーパーは宅配もしてくれるので、外に出る必要がほとんどありません。最後に外に出たのは……思い出せないくらい前のことです

 

昨今、高齢者の一人暮らしは増加傾向にあり、2023年時点で65歳以上の一人暮らしの高齢者は702万人に達しています。また、内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、65歳以上の高齢者の約5割弱が孤独死を身近に感じていると回答。この傾向は、特に一人暮らしの高齢者において顕著です。

 

さらに引きこもり状態にある高齢者も増加傾向にあるといわれています。高齢者が引きこもりになる理由としては、まず「仕事の喪失」。定年退職やリストラにより、社会との接点が減少することで、引きこもり状態になることがあります。またフレイル(心身の衰え)や病気が原因で外出が困難になることも。老人性うつや人間関係の悩みも引きこもりを助長する要因となります。

 

引きこもりになると、身体を動かすことが減り筋力が低下。日常生活に必要な動作が困難になることがあります。また社会的孤立は抑うつや不安を引き起こし、さらなる引きこもりを招くことも。引きこもりが長期化すと身体的・精神的な健康が悪化し、死亡リスクが高まることも指摘されています。つまり高齢者の半数が危惧する孤独死のリスクを高めることになるのです。

 

――心配してくれる身内もいないですし、孤独死、確定ですよ。本当によいことのない人生です

 

[参考資料]

裁判所『令和5年度 司法統計年報』

総務省『労働力調査』

内閣府『令和6年版高齢社会白書』