(※写真はイメージです/PIXTA)

S造(鉄骨造)で使用される鉄骨は、軽量でしなやかな性質を持っていますが、その性質ゆえにメリット・デメリットもあります。本コラムでは、S造の特徴、他の構造との比較、そして法定耐用年数や実際のS造の寿命について詳しく解説します。

S造(鉄骨造)の種類

S造には、大きく分けて以下の2種類があります。

 

 

重量鉄骨造

重量鉄骨造は鋼材の厚みが6mm以上のものを指し、高い強度と耐久性を持つため、主に高層建築や大規模な施設に使用されます。重量鉄骨造では、柱と梁を剛接合した枠組みで建物を支えるラーメン構造に用いられます。柱と梁が一体化しているため、柱と柱の間隔を広く取ることができます。そのため、設計の自由度が高く、広々とした室内空間を作ることができます。また、鉄骨が分厚いため、防音性も高くなるメリットがあります。

 

一方で、鉄の価格は重さだけでなく厚さによっても変わるため、軽量鉄骨造よりも厚い重量鉄骨造はその分だけ費用がかかることがデメリットとして挙げられます。また、重量鉄骨造は重さがあるため、基礎の補強工事が必要になります。

 

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は鋼材の厚みが6mm未満のものを指し、特に住宅や小規模施設に適しています。重量鉄骨造と比較して、材料を扱いやすく施工もシンプルなため、費用が安く工期が短くなるメリットがあります。また、軽量鉄骨造はブレース構造が用いられます。

 

ブレース構造は、木造に用いられる木造軸組工法と同様に、柱と梁を斜めのブレース(筋交い)で補強して構造体を作ります。ハウスメーカーなどで鉄骨造の一戸建てを建てる場合、品質が安定していることから前述したプレハブ工法で建てられることが一般的ですが、基本的には筋交いのあるブレース構造が用いられます。

 

木造と比較し、耐久性や耐震性の点においては軽量鉄骨造の方が一般的には優れていますが、防音性を左右する壁や床の厚さは木造と大きく変わらないため、防音性は基本的には木造とほぼ変わりません。また、規格化されたプレハブ工法を採用していることから、設計の自由度が低く、希望する条件が実現できないこともあります。

 

これらの違いは、建物の用途や必要な耐久性、コストに応じて選ばれる基準となります。それぞれの特性を理解することで、目的に合った適切な建築構造を選ぶことができます。

 

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