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介護に限界…母を老人ホームに預ける決心をしたが…
介護負担により、仕事を辞めようかと思い悩んでいるとき、「絶対辞めてはいけない」と同僚。おひとり様の恵さんの場合、ちょうど自身の老後を見据えて資産形成を加速させるべきタイミングですが、収入がなくなれば当然、資産形成はできず、老後の生活が不安定になるでしょう。また介護が終わったあとに再就職をしようとしても、年齢的に難しい場合も珍しくありません。さらに仕事を通じた社会との接点が失われ、孤立感が増すことがあります。孤立化は精神的な健康に悪影響を及ぼす要因となり、多くの介護者が離職後に精神的な負担が増加したと感じているのが現実です。
納得の理由ではあったものの、これ以上、在宅で介護を続けるのは難しい……そこで美智子さんを老人ホームに入居させることを決意。美智子さんの年金は月17万円。美智子さんの貯金などを鑑みて、月20万円以内で入居できるところが望ましい。また入居一時金はゼロ円というホームが望ましい。介護体制が充実していることはもちろん、医療との連携もしっかりしているホームのほうが、母を預ける身としては安心。またこれまで人と共同生活の経験がない美智子さん。居室が個室であることは絶対。また頻繁に面会にいけるよう、実家から車で30分程度行けるホームがいい……すべての条件をクリアしている介護付き有料老人ホームが1件だけ見つかりました。しかも、ちょうど空室があり、即入居可。
早速、美智子さんに話をしてみると、見る見るうちに顔が険しくなっていくのがわかりました。そして「老人ホームなんて入りたくない!」と絶叫。あまりの剣幕に、思わず怯んでしまったという恵さん。しかしこのままでは、母娘で共倒れ……もう老人ホームに頼るしかない。
――どんなに嫌といっても、もう決めたことだから。もうこれ以上、お母さんの介護は限界だから、私
冷静に伝えると美智子さんの表情はさらに険しくなり、顔を真っ赤にさせてさらに語気を強めます。
――親を捨てるんだな!
――親不孝者!
――絶対に呪ってやる!
呪ってやる……あまりにショッキングな言葉。さらに次々と罵詈雑言。そうなるともう止められないことを恵さんは知っています。すべて吐き出すまで待つしかない。そう思って耐えていると、「こんなに嫌がっている老人ホームに入れなきゃいけないんだ」と、自身が不甲斐ないと思えてきて、涙が止まらなくなってしまったといいます。
老人ホームへの入居は、本人の同意が必須ではなく、特に、認知症などの理由で意思表示が難しい場合、家族の意向で手続きを進めることができます。また無理に入居させることにはリスクが伴い、環境の変化に適応できず、精神的な負担が増す可能性も。家族内の関係が悪化したり、うつ病や認知症の症状が悪化したりする懸念もあるといわれています。
――あんなに嫌がると思っておらず、正直、びっくりしました。ただ介護はいずれ終わっても、そのあと、私の人生は続いていきます。そこでお金がないと困窮でもしたら、母のせいだと憎んでしまう。もう、母をプロに預けるしか方法はなかったんです
[参考資料]