
母が要介護3に…父が介助するも死去。娘にバトンタッチ
斉藤恵さん(仮名・48歳)。3年前に父を亡くし、今は実家で母・美智子さん(仮名・75歳)と2人暮らしをしていました。5年前、美智子さんは脳梗塞を発症。一命は取り留めたものの、左半身に麻痺が残り、要介護3の認定を受けました。
――母の介護は主に亡くなった父が行いました。肉体的にも精神的にもきつく……父は無理がたたったのかもしれません
要介護3では立ち上がりや歩行などが自力で行うことが困難になり、日常生活において全面的に介助が必要になります。また多くの場合認知症の症状もみられるようになります。厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、要介護2における同居する主な家族の介護負担をみていくと「ほとんど終日」と回答した人が17.0%。それが要介護3になると31.9%と、ほぼ倍になります。このことからも要介護3の介護は、大きな負担であることがわかるでしょう。
それまで住んでいたマンションから実家に引越しをし、亡くなった父親に代わり、母・美智子さんの介護を行うようになった恵さん。朝は食事、そして着替え等をサポートしたあとはホームヘルパーにバトンタッチ。訪問入浴介護も利用し、負担の大きな入浴の介助を行うことはありません。夜は19時くらいに帰宅。ホームヘルパーと再びパトンタッチし、寝るまでの介助を行います。夜、トイレで起こされることも多く、十分な睡眠をとれないときも珍しくありません。
――肉体的にも精神的にも限界で……仕事を辞めるしかないのかなと思い悩みました
2023年の厚生労働省『雇用動向調査』によると、介護や看護を理由に離職した人は約7.3万人。この数字は、個人的理由で離職した約591.6万人のなかでの割合を示しており、介護離職者は2000年と比較して約2倍に増加しています。