
親の介護から完全開放…その後に襲う「後悔の念」
認知症の母親が介護施設に入居したことで、肉体的・精神的な介護負担からは解放された山本さん。しかし月3万~4万円の金銭的な負担は、よりきつかったといいます。
――むこう(妻)の親にも仕送りをしているうえ、まだ住宅ローンが残っていました。月13万円の返済。自分たちの老後を見据えても不十分だし、月3万円の出費だって痛い状況だったんです
金銭的な負担に押しつぶされそうになった4年。浩一さんは65歳になり、月16万円の年金をもらいながら、月収22万円で契約社員を続けています。2人の兄はそろそろ年金生活に……正直、ぎりぎりのタイミングで母親は亡くなったのです。それで思わずこぼれたのが、冒頭の「ホッとしている」という言葉でした。
――本心でした。「解放された!」「もうお金を払わなくていいんだ!」と。でも母が亡くなるのを待ち望んでいた……そんな心のありように気づき、自分で自分が怖くなりました
また同じように、後悔の念に苛まされることも。
――最後の最後に、母を裏切ってしまったという気持ちでいっぱいで。きちんと母親に感謝を伝えることができませんでした……
【「子から親へ」伝えたいこと】
・親への感謝や愛…89%
・親への心配…60%
・親への願い…51%
・自らのこれから…36%
・自らのこれまでと現状…26%
※出所:オヤシル株式会社『家族で話したいこと・聞きたいことに関する調査』
※「親に伝えたいことがある」と回答した65%に対し質問。数値は伝えたいという意向度「まあそう思う」「とてもそう思う」の合計
いずれ多くの人が直面する「親の介護」。その負担は大きく、親が亡くなった際に「ホッとした」と感じることは珍しいことではありません。余裕のない介護生活のなかでも、きちんと親への想いを伝えることができれば、後悔せずにいられるかもしれません。
[参考資料]