いずれ多くの人が抱えるだろう「親の介護」。肉体的な負担、精神的な負担、さらには金銭的な負担に追い込まれるケースも珍しくありません。どんなに大切な親でも、重い介護負担を前に、はたからみれば「人でなし」と思われるような感情を抱いてしまうことも珍しくはありません。
正直ホッとしています…〈月収22万円〉〈年金月16万円〉のサラリーマン、重すぎる介護負担に崩壊寸前。88歳で亡くなった母の葬儀で漏らした「本音」 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の介護から完全開放…その後に襲う「後悔の念」

認知症の母親が介護施設に入居したことで、肉体的・精神的な介護負担からは解放された山本さん。しかし月3万~4万円の金銭的な負担は、よりきつかったといいます。

 

――むこう(妻)の親にも仕送りをしているうえ、まだ住宅ローンが残っていました。月13万円の返済。自分たちの老後を見据えても不十分だし、月3万円の出費だって痛い状況だったんです

 

金銭的な負担に押しつぶされそうになった4年。浩一さんは65歳になり、月16万円の年金をもらいながら、月収22万円で契約社員を続けています。2人の兄はそろそろ年金生活に……正直、ぎりぎりのタイミングで母親は亡くなったのです。それで思わずこぼれたのが、冒頭の「ホッとしている」という言葉でした。

 

――本心でした。「解放された!」「もうお金を払わなくていいんだ!」と。でも母が亡くなるのを待ち望んでいた……そんな心のありように気づき、自分で自分が怖くなりました

 

また同じように、後悔の念に苛まされることも。

 

――最後の最後に、母を裏切ってしまったという気持ちでいっぱいで。きちんと母親に感謝を伝えることができませんでした……

 

【「子から親へ」伝えたいこと】

・親への感謝や愛…89%

・親への心配…60%

・親への願い…51%

・自らのこれから…36%

・自らのこれまでと現状…26%

※出所:オヤシル株式会社『家族で話したいこと・聞きたいことに関する調査』

※「親に伝えたいことがある」と回答した65%に対し質問。数値は伝えたいという意向度「まあそう思う」「とてもそう思う」の合計

 

いずれ多くの人が直面する「親の介護」。その負担は大きく、親が亡くなった際に「ホッとした」と感じることは珍しいことではありません。余裕のない介護生活のなかでも、きちんと親への想いを伝えることができれば、後悔せずにいられるかもしれません。

 

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』

オヤシル株式会社『家族で話したいこと・聞きたいことに関する調査』