義実家への帰省シーズン、手土産選びに頭を悩ませる方は多いはず。相場や好みをリサーチして選んだ品でも、親戚が集まる場ではふとした瞬間に「格差」を感じ、肩身の狭い思いをすることがあるかもしれません。しかしその差を生むのは、単なる経済力の違いだけとは限りません。ある女性のケースを見ていきます。
みなさんのお口に合うかしら…「年収2,500万円・義兄夫婦」が持ち込んだ手土産に、「結婚6ヵ月・32歳妻」が悲鳴 (※写真はイメージです/PIXTA)

百貨店で買った「クッキー」と、桐箱入りの「最高級肉」

「正直、穴があったら入りたい……いえ、その穴を自分で掘って埋まりたい気分でした」

 

昨年末、義実家へ帰省したときの話をしてくれた、都内のメーカーで事務職として働く佐藤由美さん(32歳・仮名)。由美さんの夫は優しく、義両親とも良好な関係を築いています。しかし、由美さんにはひとつだけ気がかりなことがありました。それは、義兄夫婦の存在です。

 

「義兄さんは大手商社マン、奥さんの玲子さん(35歳・仮名)も外資系企業勤務のバリキャリです。世帯年収は2,500万円を超えると聞いていました。私はごく一般的な家庭で育ち、今の年収も平均的。会う前から勝手に引け目を感じていました」

 

帰省当日。由美さんは百貨店で人気だという、3,000円ほどの焼き菓子の詰め合わせを用意しました。「これなら外さないはず」と自信を持って選んだつもりでした。

 

義実家に到着し、緊張しながら挨拶を済ませた後、先に到着していた義兄夫婦と対面しました。玲子さんは上品なワンピースに身を包み、笑顔も完璧。そして、手土産を渡す瞬間が訪れました。

 

「私が『心ばかりですが……』とお菓子を渡すと、義母は『あら、ありがとう』と笑顔で受け取ってくれました。でも、その直後です。玲子さんが取り出したものを見て、私は血の気が引きました」

 

玲子さんが差し出したのは、桐箱に入った立派な牛肉。「みなさんのお口に合うかしら。以前、お義父様がお好きだと仰っていた銘柄牛を取り寄せてみたんです」と言うのです。

 

その瞬間、義父の目が輝き、義母も「まあ! こんな良いお肉、自分たちじゃ買わないわよ!」と大はしゃぎ。リビングの空気は一気にそのお肉中心になりました。私が持参したクッキーの箱は、テーブルの隅に追いやられたように見えました。

 

(なんという差……。経済力も、リサーチ力も負けている)

 

いたたまれなくなった由美さんを救ったのは、夫の言葉でした。

 

「母さん、由美が選んだこのクッキーも、今の時期しか買えない限定品なんだ。お茶請けに最高だと思うよ」

 

そのフォローに義母も「あらやだ、ごめんなさいね。あとでゆっくりいただくわ」と笑顔を向けてくれましたが、由美さんの胸のざわつきは収まりません。

 

その夜、由美さんは玲子さんにお礼を伝えつつ、少しだけ話を聞きました。すると、あのお肉は百貨店で買ったのではなく、ふるさと納税の返礼品として計画的に手配していたことがわかりました。

 

「『今年の控除枠が余っていたから、実家宛に送る手続きをしておいたのよ』と玲子さんは涼しい顔で言っていました。私はふるさと納税は知っていても、『面倒くさそう』と敬遠してやっていませんでした。玲子さんはお金があるだけでなく、そういったお得な制度をフル活用して、賢く立ち回っていたんですね……」

 

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