人生には、結婚や独立、キャリアアップなど、大きな転機が訪れることがあります。そうした変化は、喜びや期待をもたらす一方で、これまで意識していなかったリスクに目を向けるきっかけともなります。特に健康状態の変化や家族構成の変化は、将来への備えを考えるうえで重要な要素です。本記事では、山口茜さん(仮名)の事例とともに結婚と保険について、FPdream代表FPの藤原洋子氏が解説します。
三食母の手作りご飯を食べ、31年間実家暮らしの年収600万円・女性管理職…結婚後に起きた異変。気がついた「衝撃の事実」【FPの解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦の生命保険への要望

健太さんと茜さんの要望は以下のとおりです。

 

健太さん

9年前に生命保険と医療保険に加入したが、生命保険はもうすぐ更新の時期を迎える。自分がケガや病気の治療のために会社を休まなければならないときなどに備えて、最新の医療事情に合った内容の保険に見直して、備えておきたい。

 

茜さん

万一のことがあったり、長期間働くことができない状況になったり、病気やケガで治療のために支出が増えたりすると、生活が成り立っていくのか心配。そのための備えとして、なるべく合理的な保険商品を選んで備えておきたい。

 

上記を踏まえて保障内容を検討していきます。

保険加入の目的と備えるべき費用をよく検討する

健太さんと茜さんは、2人とも会社員です。どちらかに万一のことがあった場合、遺族の生活費などは、遺族厚生年金や死亡退職金などの企業の保障で、ある程度は保障されています。しかし、貯蓄などを含めてもそれだけでは十分といえないケースが一般的です。必要となる金額から収入として見込める金額を差し引いて、不足分を生命保険などで備えておきます。

 

死亡保険の選択肢としては、定期保険か収入保障保険です。収入保障保険は、加入からの経過に伴って保障額が減少するので、保険料を抑えながら合理的に備えることができる保険商品です。

 

長期間働くことができない場合に備えるためには、就業不能保険が選択肢のひとつでしょう。健太さんと茜さんは、会社員なので、傷病手当金を受け取れますが、給付額は月収の3分の2、給付期間は通算1年半です。たとえば、精神疾患や脳血管疾患など、退院後も障害年金を受け取りながら長期間の在宅療養が必要になるケースでは、世帯収入の減少に加え、医療費の負担が重くなります。

 

ただ、就業不能保険は、仕事を続けることができる場合には、支給されないことが注意点です。通院や入院のため本人の収入が減少したり、高額療養費の適用が受けられたりしても、高額な治療費がかかり、治療が長期間になる可能性のあるがんへの備えも、検討してみることをお勧めします。

 

保障を検討する際には、勤務先で加入できるグループ保険や共済、健康保険組合からの付加給付などについても、事前によく調べておきましょう。親が加入してくれている保険もあるかもしれません。また、突然の支出に慌てないように、収入の3ヵ月~1年分を目安に貯蓄で準備できると安心感が持てるのではないでしょうか。

 

スマートフォンのアプリで、健康状態を記録するなどによって特典が受けられたり、生活習慣を改善する情報が得られたりする商品もあります。うまく活用して自分や家族の体調管理に役立てたいですね。