すべてはホストの彼のため…500万円貸してほしい
厚生労働省の調査によると、大学新卒の給与は平均月23.7万円。手取りにすると18万円ほどです。何かと物価の高い東京でのひとり暮らし。お金が足りなくなるときもあるでしょう。それにしても「500万円を貸して」となると大問題。正当な理由があっても、すぐに貸せる金額ではありません。
――なぜ500万円もの大金が必要なのか?
理由を聞いても一向に話そうとしません。これ以上は埒が明かないと電話を切ろうとすると、「待って」「お願い」「ちゃんと話すから」と泣き叫ぶ長女。仕方なく、話す気になるまで、電話をつないだまま待っていると、観念したのか、ぽつりぽつり語りだしました。
・ホストと交際している
・彼を一番にしたいと頑張ったら払えないほどの売掛金に
・私が払わないと彼がクビになってしまう
高校では生徒会長に推薦されるほどの優等生だった長女。就職先も、いわゆる一流企業。自慢の娘でした。そんな長女がホストに貢ぎ、しかも交際している(と信じている)。「騙されているんじゃないのか」というと、「付き合っている」と主張するばかり。どうやら自分が利用されているのがわからないくらい、入れ込んでしまっているようです。
昨今、問題視されているホストクラブをはじめとした「売掛」。客の飲食代を店またはホスト等が一時的に立て替え、後日、返済してもらう、ツケ飲み。当然、後で払うといっているわけですから、返済する義務があります。しかし、無理やり売掛や借金をさせられた場合や、売掛の事実や金額を証明するものがない場合、客が未成年者であった場合など、返済不要なケースも。
またホストクラブでの高額な売掛金を返済させるために性風俗や売春などの仕事を紹介したり、恋愛感情などマインドコントロールの手法を用いてこれを紹介したりする事案も多く発生しています。これは職業安定法違反。警察庁の調査によると、近年、悪質ホストクラブに関する相談が急増。2023年は2,675件。2024年は10月末時点で2,362件の相談が寄せられています。また2023年1月から2024年6月に、検挙事件は83件発生。203人が検挙され、そのうち44%がホストでした。このような状況から規制を強化する動き、また業界内からも健全化を目指す動きが出ています。
――純粋な気持ちにつけこんで、500万円も借金をさせるなんて。鬼畜にもほどがある
娘が悪質ホストに利用された(だろう)斉藤さん。穏やかに老後が始まると思いきや、波乱の幕開け。まずは警察や弁護士に相談をすることから始めているといいます。
[参考資料]