仕事が第一の現役時代。定年後は、それまで支えてくれた妻に尽くさないと……そう考えている人は多いのでは。しかし夫婦で老後の生活をいろいろと思い浮かべても、誰もがその夢を叶えられるとは限りません。さらにその先に、とんでもない未来が待っていることも。
「定年後は世界中を旅しよう」と約束も〈年金22万円〉65歳男性、愛する妻が突然死。さらに〈退職金2,800万円〉が6ヵ月で枯渇…原因は亡き妻の面影をみた自称45歳女性の存在 (※写真はイメージです/PIXTA)

考えたこともなかった…5歳下の妻、心不全で急逝

清水修さん(仮名・65歳)。5歳下の妻・美登里さんを、急性心不全で亡くしました。結婚40年。夫婦共働きで3人の子どもを育て上げました。修さんは60歳が定年でしたが、美登里さんも定年を迎えるタイミングで一緒に仕事を辞めて、悠々自適な定年ライフを満喫しようと話していたといいます。

 

これまで5日以上の連続した休暇は取ったことがなかったという清水さん。ゆっくりと長旅に出かけるということもありませんでした。

 

――定年後は世界中を旅しよう

 

美しい世界遺産が紹介されるテレビを観ては感嘆の声を上げていた清水さん夫婦。実際に訪れてみたい世界遺産が山のようにありました。「現世では周り切れない」と冗談を言っていましたが、ひとつも周ることなく、約束を果たすこともできませんでした。

 

――まさか妻が先に逝ってしまうなんて、考えもしなかった。しかもこんなに早く……

 

厚生労働省『令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況』で男女別に有配偶者の死亡数をみていくと、60歳以降、常に男性の死亡者のほうが多いことがわかります。平均寿命や夫婦の年齢差を考えると、圧倒的に「夫を亡くす妻」のほうが多いということ。清水さんのように「妻に先立たれる」ことを1ミリも考えたことのない人は実に多いのです。

 

【60歳以上有配偶の男女の死亡数】

60~64歳…男性:12,556人、女性:7,276人

65~69歳…男性:23,201人、女性:11,327人

70~74歳…男性:52,715人、女性:22,207人

75~79歳…男性:75,643人、女性:28,604人

80~84歳…男性:101,390人、女性:34,443人

85~89歳…男性:106,536人、女性:30,313人

90~94歳…男性:63,121人、女性:14,160人

95~99歳…男性:15,020人、女性:2,408人

100歳以上…男性:1,079人、女性:149人