社会人になった長女から1本の電話、衝撃的な内容
斉藤隆さん(仮名・65歳)。30年弱勤めた会社を60歳で定年。その後、再雇用制度で契約社員として働き、年金を受け取る65歳で完全引退を果たしたといいます。
現在、妻とふたり暮らし。3人いる子どもはいずれも大学を卒業。住宅ローンも完済しました。やりくり上手の妻・裕子さんは、コツコツと貯金をしてその額、3,000万円。60歳の定年時に受け取った退職金は1,800万円ほどあります。また65歳から受け取れる年金は基礎年金と合わせて月21.5万円。3歳年下の裕子さんも、月13万円ほどの年金をもらえる予定です。贅沢三昧とはいきませんが、夫婦ふたり、悠々自適に生きていくには十分だと考えていました。
一方、会社の規定が変わり、働いていた会社では70歳まで働けることになったといい、同年代のおよそ3割は、引き続き65歳以降も働いています。老後の生活にお金の不安を残す人もいれば、生きがいのためという人、健康のためという人……働く理由は人それぞれですが、そのようななか斉藤さんは「もう十分頑張った。あとは夫婦でゆっくりと過ごそう」と現役引退を決めました。とりあえず、これまで支えてくれた妻の労いも込めて、ちょっと長めに海外旅行でも行こうかなと計画中。たくさんのパンフレットをもらってきて、思いを膨らませていたといいます。
しかし、穏やかに始まった老後に、一気に波乱に満ちる出来事が勃発します。
ある日、東京で働く長女から電話。長女は、大学を卒業し希望していた会社に就職。毎日忙しく働いているようで、ほかの子どもたちは週に1回ほど連絡をしてくるといいますが、長女は月に1回あるかないか。あまりに連絡がないため、親から電話をすることも多かったとか。「社会人になったばかりで忙しくしているんだろう」と思っていたといいます。
――長女から電話をしてくるなんて……珍しい
そう思いながら電話に出ると、どうも様子がおかしい。泣いている……? なかなか次の言葉が出てこない長女。待っていると、衝撃的なことを言い出したといいます。
――ごめんなさい、お金を貸してほしい。500万円……