父(母)が亡くなり、実家では母(父)がひとり暮らし……子どもとしては心配でたまらないでしょう。そんな子どもに対して親は「大丈夫」というもの。また「本当に大丈夫」かは子どもにはわからない、というのもお決まりのパターンのようです。
年金月20万円・75歳母の「大丈夫」を信じた48歳のひとり息子だったが…ある夜の緊急電話に仰天、駆けつけた病院でみた「母の変貌ぶり」に衝撃 (※写真はイメージです/PIXTA)

「お母さんが倒れた!」…朝一の飛行機で病院に駆けつけると

父親が亡くなってからしばらく経ったある夜のこと。健一さんは、近所に住む親戚から、「かあちゃん(順子さん)が倒れた」という連絡を受けました。翌朝、朝一の飛行機に乗り、順子さんが入院したという病院へ。そこには痩せ細った順子さんの姿がありました。

 

――なんでこんなに痩せ細って……

 

あまりの変貌ぶりに衝撃を受けた健一さん。連絡をしてくれた親戚から話を聞くと、おかずを作りすぎたからとおすそ分けしに訪ねたら、リビングで倒れている順子さんを発見したとか。医師からは「栄養障害による貧血」と説明を受けました。そこで親戚が「お金がない、お金がないって……あまり食べられていなかったみたいだから」とひと言。

 

――えっ、お金がないってどういうこと?

 

母・順子さんの回復をまってから話を聞いた健一さん。そこで判明したのは「年金は月3万円ほどしかもらっておらず、月18万円というのはウソ」ということ。実は、亡くなった健一さんの父は、保険料納付済期間が25年未満だったため、順子さんは遺族年金を受け取ることができず、受け取れる年金は自身の基礎年金だけだったのです。

 

「いろいろあって、保険料、払ってないときがあったの」と順子さん。健一さんの父が元気だったころからふたりの年金はわずかで、貯金を取り崩し生活していたといいます。「貯金があればどうにかなる」と楽観的に考えていましたが、父の医療費がかさみ貯金は大きく減少。今では底を尽きそうだといいます。

 

――節約しなきゃっと思って。削れるところといえば、まずは食費だから……

 

母・順子さんは常に「大丈夫」と笑顔でいい、人に頼れず頑張りすぎてしまう人でした。しかしながら、そんなに困っていたとはまったく気づかなかった健一さん。「なんで言ってくれないの?」「なんで年金月20万円だなんて、嘘をついたの?」と厳しい口調でいうと、「住宅ローンの返済に、教育費に……健一だって大変だろう?」と順子さん。

 

――そんなに頼りがいがないのか、俺は

 

そう思うと情けなく、涙が出てきたといいます。

 

厚生労働省『令和4年 年金制度基礎調査』によると、老齢基礎年金だけもらっている人は約650万人、厚生年金ももらっている人は3,300万人。また同省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、年金月額3万円未満という人は、国民年金受給者の3.27%、厚生年金受給者の0.68%。割合にするとほんのわずかですが、数にすると全国に45万人ほどいる計算となりまります。

 

事実を知った以上、ほっておくわけにはいかない健一さん。順子さんの回復をまって、一度、東京の自宅に連れていきたいといいます。

 

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[参考資料]

法務省『令和5年版犯罪白書』

厚生労働省『令和4年 年金制度基礎調査』

厚生労働省『令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』