日本の企業の多くは60歳定年制を採用していますが、業績不振や人材の若返りなどを目的に、早期退職を募ることは珍しくありません。その際、退職金が上乗せされることが多く、「こんなにもらえるなら」と決断するサラリーマンも。ただ退職後に茨の道が待っているケースも多いようです。
浅はかでした…〈月収60万円〉57歳サラリーマン〈退職金3,200万円〉に有頂天。早期退職で会社を去るも、100社応募も再就職決まらず「プライド崩壊」 (※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職金+給与1年分に惹かれて…定年3年前に退職

沢田浩介さん(仮名)。大卒時に入社したメーカーでのキャリアを経て、60歳定年の3年前に早期退職に応募しました。定年退職の場合に支払われる予定の退職金額に加えて、年収1年分が上乗せされる条件に惹かれたといいます。

 

――60歳まで働いていたら、2,200万円ほどの退職金を受け取れる予定でしたが、そこに1,000万円上乗せとなる。いい条件だと思いました

 

それまでは60歳まで働き、その後は再雇用制度でそのまま働こうと考えていたといいます。その際、管理職から契約社員になるため、役職手当がなくなるうえ、基本給は3割減。それら合わせて、給与は現役時代の3~4割程度になることがわかっていました。

 

【サラリーマンの定年退職金】

■大卒サラリーマン平均…1,896万円

勤続20~24年…1,021万円

勤続25~29年…1,559万円

勤続30~34年…1,891万円

勤続35年以上…2,037万円

■高卒サラリーマン平均…1,682万円

勤続20~24年…557万円

勤続25~29年…618万円

勤続30~34年…1,094万円

勤続35年以上…1,954万円

※出所:厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

 

――この会社でこのまま働いた場合、この給与差にモチベーションがあがらないだろうなとぼんやりと思っていました。まったく違う環境であれば、給与減の事実を受け入れやすいのではないか……そんなことも考えて早期退職に申し込んだんです

 

大卒以来勤めていた会社を57歳で去り、3,200万円の退職金を受け取る。直前の月収は60万円ほど。その給与を捨てたとしても、退職金が振り込まれた預金通帳をみたときは思わずテンションが上がったといいます。

 

――そんな大金、仕事以外では見たことがなかったので(笑)

 

しかし住宅ローンの返済はまだ10年ほど残っているし、3人いる子どものうち、下の2人はまだ大学生。学費の支払いもあります。早期退職で仕事を辞めて、悠々自適の生活を送る……そういうわけにはいかないのです。

 

――退職金で有頂天になるのは一瞬だけ。すぐに再就職に向けて始動しなければなりませんでした

 

まずは転職サイトに登録。50代後半から60代の募集……いまどき、結構あることがわかりました。「これであれば、すぐに希望の仕事が見つかる」と楽観的に考えるようになったといいます。

 

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