第2次トランプ政権の影響は小さいが…2025年「フィリピンの経済成長」を阻む「3つの潜在的リスク」

1月13日週「最新・フィリピン」ニュース

第2次トランプ政権の影響は小さいが…2025年「フィリピンの経済成長」を阻む「3つの潜在的リスク」
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週の焦点は2025年のフィリピン経済・ビジネス動向。1月20日に再びトランプ政権が発足しますが、フィリピンへの影響は?

2025年「トランプ2.0」の影響は?

フィリピンは、米国次期大統領ドナルド・トランプ氏が提案する保護主義的な政策に対して、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで最も影響を受けにくいとHSBCが指摘しました。HSBCは、フィリピンの輸出構造や財政の強固さがその理由だと述べました。

 

フィリピンの耐性要因①:米国への輸出依存の低さ

フィリピンの対米貿易黒字は非常に小さいため、トランプ氏が提案する高関税政策の影響を受けにくいと指摘されています。一方で、サービス輸出への依存度がASEANで最も高く、これは関税の対象外であるため、特に影響を受けにくいとされています。

 

フィリピンの耐性要因②:サービス輸出の強み

フィリピンのサービス輸出はデジタル化や人工知能(AI)分野での成長が期待されており、これが今後の競争力の源となっています。2023年の中央銀行のデータによると、フィリピンのサービス輸出額は前年同期比6.25%増の374億ドルに達しました。

 

フィリピンの耐性要因③:強固な財政基盤

フィリピンはASEAN諸国のなかで唯一、税収対GDP比率が上昇しており、インフラ投資など長期的な成長に向けた財政余力があります。マルコス政権はGDPの5~6%をインフラに年間投資する計画を立てており、この分野は関税リスクにさらされることがありません。

2025年「フィリピンの経済成長」不安要素、3つ

一方で、フィリピンには経済成長を阻む、3つの潜在的リスクがあります。

 

フィリピンの潜在的なリスク①:金利政策への影響

トランプ氏の政策が完全に実行された場合、米国のインフレ圧力が高まり、連邦準備制度(FRB)が利上げを余儀なくされる可能性があります。これにより、フィリピン中央銀行(BSP)も金利を引き上げざるを得なくなり、投資環境が悪化するリスクが高まるでしょう。

 

フィリピンの潜在的なリスク②:ペソ安の可能性

フィリピンペソは1ドル=59ペソを超える水準に下落する可能性があるものの、他のアジア通貨に比べて下落幅は小さいと予想されています。BSPは豊富な外貨準備を活用し、市場のボラティリティを抑える姿勢を示しています。

 

フィリピンの潜在的なリスク③:米国の金利の影響

米国金利が上昇すれば、フィリピンの中央銀行が政策金利を引き下げるタイミングが遅れる可能性があります。HSBCは2025年第3四半期にフィリピンの政策金利が5%に引き下げられると予測していますが、米国金利の動向次第でさらに遅れるリスクも指摘されています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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