日本の企業の多くは60歳定年制を採用していますが、業績不振や人材の若返りなどを目的に、早期退職を募ることは珍しくありません。その際、退職金が上乗せされることが多く、「こんなにもらえるなら」と決断するサラリーマンも。ただ退職後に茨の道が待っているケースも多いようです。
浅はかでした…〈月収60万円〉57歳サラリーマン〈退職金3,200万円〉に有頂天。早期退職で会社を去るも、100社応募も再就職決まらず「プライド崩壊」 (※写真はイメージです/PIXTA)

100社応募も書類選考通過はたった2社の現実

再就職活動を本格化させた沢田さん。「すぐに仕事は見つかる……」その余裕はすぐに消え去りました。応募すれど書類審査が通らず、気づけば100社以上になっていたといいます。

 

――最近はキャリアシートをサイトにアップすれば、簡単に応募できるということもあるのでしょう。気づけば驚くような数の会社に応募していました。それでも書類審査に通ったのは、わずか2社……

 

書類審査の通った会社も1次面接で落ち、連敗記録を更新。キャリアコンサルタントに指摘されたのは、過去の成功体験。勤めていたのは会社は誰もが知る有名企業。そこで働いてきたというプライドがあり、なかなか自分のキャリアを見直すことができていないと、ずばりいわれてしまいました。

 

焦りを感じ、さらに経済的な不安も募っていきます。再就職が叶わないまま、本当は老後を見据えて運用しようと考えていた退職金3,200万円に手を付けるようになったといいます。

 

――ちょっと多めの退職金に惹かれて会社を辞めるなんて……やっぱり浅はかでした

 

株式会社マイナビによる『転職動向調査2024年版(2023年実績)』によると、転職して年収が上がった割合は男性では50代が最低で32.5%。転職の成功が給与アップであるならば、50代はかなり厳しいといえるでしょう。転職前後の年収額についても、性別年齢別で唯一50代男性は600.2万円から587.4万円に減額。沢田さんがいうように、確かに50代以降の求人は多いものの、転職者の希望と現実には大きな乖離が生じていそうです。

 

現在、沢田さんはハローワークに通い、仕事を探しているといいます。

 

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[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

株式会社マイナビ『転職動向調査2024年版(2023年実績)』