重要性高まる「成年後見人制度」だが、問題点もいろいろ
判断能力が不十分な人々を支援するための成年後見制度。家庭裁判所によって選任された後見人が、本人の代わりに法律行為や財産管理を行うことを目的としています。具体的には以下のような役割を果たします。
財産管理:後見人は本人の預貯金や不動産などの財産を管理し、必要に応じて契約を締結します
生活支援:後見人は本人の生活状況を考慮し、必要な医療や福祉サービスを受けられるように手配します
権利擁護:判断能力が低下した本人が詐欺や不正行為の被害に遭わないように保護します
成年後見制度の利用は、「①必要な書類を整え、家庭裁判所に申立てを行う」「②裁判所が後見人の選任を決定する」「③選任された後見人は、本人の財産や生活状況を確認し、必要な手続きを行う」というプロセスを踏みます。
裁判所『成年後見関係事件の概況―令和5年1月~12月―』によると、成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始および任意後見監督人任事件)の申立件数は合計で40,951件。そのうち終局事件合計40,665件で、95.3%が認容となっています。また申立人については、市区町村長が最も多く全体の約23.6%を占め、次いで本人(約22.2%)、本人の子(約20.0%)の順。また本人は80歳以上が多く、男性の35.5%、女性の63.7%を占めます。
超高齢社会に突入し、認知症患者の増加に伴い、成年後見制度の重要性が高まっています。しかし、制度には横領リスクや費用の問題、後見人の選任に関する不透明さなどの課題も存在します。特に後見人が家族でない場合、信頼性や適切な管理が求められます。
裁判所『後見人等による不正事例』によると、2023年、後見人等による不正事例は184件発生。被害額は約7億円。1件あたり380万円もの被害となっています。
今回、裁判所は同居する小林さんに事前照会を行いませんでした。裁判所にそう思わせた(虚偽の)理由があったはずです。申立以外の人が一度出た審判を覆すことは非常に困難なので、まずは後見人に就任した法律事務所の誤解を解くことが第一歩となりそうです。
[参考資料]