
老後不安が影響…退職金の使い道
金子将さん(仮名・72歳)。勤めていた会社は60歳で定年だったといいますが、人材の若返りを目指し、58歳のときに早期退職を募集。金子さんは手を挙げて、定年時の金額に上乗せして退職金を受け取ったといいます。その額、3,200万円。
――2年分の給与が貰えませんが、もう十分働いたからもういいかなと思って。退職金は800万円ほど多くもらえたんじゃないかな
突然始まった定年生活。家族にきちんと相談をして決めたことではなかったので、呆れられたといいます。家族の反応はさえておき、いきなり3,000万円を超えるお金が入るわけですから、相当テンションが上がったとか。
――あれや、これやと退職金の使い道を考える……人生で一番幸せなときだったかもしれません(笑)
一般社団法人投資信託協会『60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書』によると、退職金の使い道で最も多かったのは「預貯金」で6割弱。多くの人が老後の生活資金を確保するために、リスクを避ける選択をしていると考えられます。
【退職金使い道ランキング】
1位:預貯金…59.3%
2位:日常生活費への充当…25.6%
3位:旅行等の趣味…21.7%
4位:住宅ローンの返済…20.8%
5位:資産運用のための金融商品の購入…20.3%
6位:住宅のリフォーム…19.0%
7位:医療費の準備…15.0%
8位:子供や孫への支援…14.5%
9位:その他…8.0%
また「旅行等の趣味」は3位。退職後の生活を楽しむための支出も重要視し、退職後の時間を有意義に過ごしたいという思いが伝わってきます。ただランキングをみる限り、退職後の生活に対する不安や安定を求める傾向が強く、老後を前に保守的にならざるを得ない事情を垣間見ることができます。