父を看取った母、実家で1人暮らしを心配する息子
昨今、世間を震撼させている、いわゆる「闇バイト」。高齢者が被害にあっているニュースを目にするたびに、実家で暮らす親のことが心配になった人も多いのではないでしょうか。東京在住の小林健さん(仮名・43歳)もそのひとり。九州の実家には、71歳になる母親・悦子さん(仮名)がひとり暮らしをしています。
悦子さんがひとり暮らしになったのは、5年前のこと。小林さんの父親が介護施設に入居し、自宅には悦子さんだけが残りました。しかし父親が存命だったため、悦子さんがひとり暮らしをしているという感覚が薄かったといいます。父親が亡くなったのは昨年末のこと。以来、「母親が実家でひとり暮らしをしている」という意識が強くなったといいます。
そこにきて、闇バイトによる事件の報道。毎日のように繰り返し耳にすると、さらに不安になります。反射的に「ひとりで大丈夫か?」と尋ねてしまうことも。もしここで「不安だ」といわれても、解決策があるわけではないのに。そんなことを見透かしてか、悦子さんは「年寄り扱いするんじゃないよ!」と威勢よく返すのだとか。
また年金生活できちんと暮らしていけるか、というお金の心配も小林さんにはありました。確か悦子さんは月15万円ほどの年金を受け取っているはず。しかしそれで十分なのだろうか……「お金は大丈夫か?」と尋ねると、悦子さんは同じように「年寄り扱いするんじゃないよ!」と威勢よく返します。小林さんも「そんなに元気なら大丈夫か」と、気にしすぎないよう心がけたといいます。
もともと悦子さんには週に1回、多いときには2回、3回と電話をしていました。たいてい悦子さんが「そんなに心配するな」と少し怒り口調でいい、小林さんが「そんなに元気なら心配ないね」と電話を切る、というのがお決まりのパターン。本当はLINEで済ませたいところですが、「そんなハイテク機器、年寄りには必要ない」(こういうときは、急に自分を年寄りというそうです)と、スマートフォンに変えてくれません。「いっそ、ガラケー型のスマフォに変えてやろうか」と、画策しているところ、ある日、ちょっとした異変を感じたといいます。
――なんでしょう……今年の春くらいから、あの威勢のよい感じがなくなって。疲れているのかなと思ったのですが、連絡するごとに元気がなくなっていく感じで、私の問いかけに「あー」くらいしか返さなくなったんです
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