人生100年を見据えて定年後も働くことを決めた
――備えあれば患いなし、石橋をたたいて渡る……そうやって生きてきました
田中誠さん(仮名・70歳)。生きていれば遭遇する選択肢。常に先々を考え、将来に困らないことのないような選択をしてきたといいます。60歳の定年を迎えたときもそう。
2,000万円ほどの退職金を受け取れ、そのほかに貯金も4,000万円ほどある
将来を見据えて自宅はバリアフリー化してあり、しかもローンは完済している
子どもたちは独立し、教育費の心配はない
65歳になれば年金は月19万円受け取れる。妻の年金と合わせると月33万円ほどになる
60歳の定年で仕事を辞めても、何も問題はなかったけど、年金を受け取るまでの5年間、無収入になることが不安で会社に残ることを決めたといいます。
厚生労働省『高年齢者雇用実態調査』によると、60歳定年制を採用している企業において、定年を迎えたあとに仕事を辞める人は約15%。残りの85%は、何らかの形で働き続けることを選んでいます。働き続ける理由としては、老後を見据えての選択。「また資産形成が十分ではない……」。逆をいえばお金の心配がなければ、定年退職する人の割合はさらに多くなると考えられるでしょう。
65歳になった田中さん。働かないと無収入という状況からは脱することができ、いよいよ仕事を辞めても大丈夫、といえるような状況になりました。しかし、ここでも働き続けるという選択をします。
――人生100年時代なんていうじゃないですか。あと35年……そう考えると、お金が足りるか不安になったんです。年金が増額になるのも大きかったですね
老齢年金は65歳で受け取らずに、66歳以後75歳まで(昭和27年4月1日以前生まれの場合は、上限年齢70歳)の間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。増額率は1ヵ月遅らせるごとに0.7%で、5年の繰下げで42%、10年で84%と年金額が増え、その増額率は一生変わりません。
将来不安を抱えるなか、年金の繰下げを選択する人も、また年金が受け取れる年齢になっても働き続ける人も増えています。ちなみに年金の繰下げについて、増額対象となるのは65歳の年金加入記録で計算された部分。65歳以降、働き続ける人のなかには厚生年金に加入する人もいるでしょう。年金保険料を納付する分、年金はプラスαとなるものの、繰下げによる増額の対象にはならないことは知っておいたほうがいいでしょう。
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