60歳定年。その後、再雇用で働き続けるか、転職して働き続けるか、または退職して無職になるか。多くのサラリーマンは60歳を機に大きくこの3択に迫られます。同じく退職金についてもどうするか、検討しなければなりません。なかにはあまりに考えが浅はか、といわざるを得ないケースも。
銀行なんて信じなければよかった…退職金2,300万円・真面目に働いてきた60歳定年サラリーマン、大学の同期から聞いた「まさかの真実」に茫然 ※写真はイメージです/PIXTA

普段使いしている銀行から「セミナー参加」のお誘い

もやもやっとして、どこか漠然とした不安感を抱いていた伊藤さんですが、その後、普段使いしている銀行から連絡があったとか。普段、銀行から連絡を受けることなどなかったので、非常に驚いたといいます。

 

何事かと思えば、銀行主催の退職金セミナーへのご案内だったとか。そこには「退職金を運用して、きちんと老後に備える」という触れ込みが……興味をそそられ参加することにした伊藤さん。それまで「資産運用なんて難しそう」という先入観から、預貯金だけで乗り越えてきました。しかしその考えでは、どうやら安定した老後は難しいらしい……。

 

一段と先行きに不安を感じたところで、銀行から提案されたのが「退職金プラン」。破格の高金利の定期預金(6ヵ月)で、投資信託購入が条件というものでした。

 

はっきりいって、投資初心者の伊藤さんには意味不明。ただ「銀行のいうことだから間違いない」と考え、半分を定期預金、半分を投資信託の購入に充てたといいます。

 

――これで老後は安泰だな

 

そんな自信を打ち砕いたのが、大学時代の友人。伊藤さん、「退職金、きちんと運用しているか?」と聞いたといいます。そして自分は銀行の「退職金プラン」で資産運用していることを得意げに話していると、「いいカモだな、お前」とひと言。

 

――そういうのって手数料が高いんだよ

 

定期預金の金利は6ヵ月5%、一方で投資信託の購入手数料は3%。すでに投資信託購入時の手数料が定期預金の利息を上回り、投資信託の取引の際の手数料も相当高いことを、伊藤さんは友人の話を通じてやっと理解することができました。購入した商品にそのような特徴があるとは知らず、ただ茫然とするばかりの伊藤さん。

 

金融広報中央委員会『金融リテラシー調査2022年』によると、購入時の商品性の理解として、投資信託購入者のうち3割が「商品性を理解せずに購入した」と回答しています。他人任せのまま資産運用をし、大きな損害を被る……そんな話は枚挙にいとまがありません。

 

――銀行が教えてくれることだから、お得な情報なんだと勝手に思い込んでいました。銀行なんて信じなければよかった……

 

今のところ、大きな損失を被ることなく運用を続けているという伊藤さん。ただ痛い目に遭わないうちに、少しずつ資産運用の勉強を始めているといいます。

 

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[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

金融広報中央委員会『金融リテラシー調査2022年』