日本の家族…10世帯に1世帯が「高齢の親と未婚の子」
高橋衛さん(仮名・68歳)。妻の信子さん(仮名・66歳)と、ひとり息子の大輔さん(仮名・40歳・未婚)の3人暮らし。
衛さんのように、高齢の親と未婚の子のみの世帯は、近ごろでは珍しくなくなりました。内閣府『令和6年高齢社会白書』によると、2022年、65歳以上の者のいる世帯は2,747万世帯。全世帯に占める割合は50.6%になります。
その内訳をみていくと、「高齢夫婦のみの世帯」が882万世帯と最も多く、32.1%。続いて「高齢の単独世帯」が873万世帯で31.8%。近年の推移をみていくと、「高齢の単独世帯」が高齢者世帯で最も多くなるのは時間の問題です。
そして「高齢の親と未婚の子の世帯」が551万世帯で20.1%。単純計算、全世帯の10世帯に1世帯は「高齢の親と未婚の子の世帯」という状況です。
【「高齢の親と未婚の子の世帯」の推移】
1980年:89.1万世帯(10.5%)
1990年:127.5万世帯(11.8%)
2000年:226.8万世帯(14.5%)
2005年:301.0万世帯(16.2%)
2010年:383.6万世帯(18.5%)
2015年:470.4万世帯(19.8%)
2019年:511.8万世帯(20.0%)
2022年:551.4万世帯(20.1%)
※2020年はコロナ禍のため調査なし、(かっこ)内数値は65歳以上の者のいる世帯に占める割合
高齢の親と未婚の子が同居する世帯の増加の背景には、大きく4つあるといわれています。
▼未婚率の上昇
日本では未婚率が高まっており、特に中年層において顕著です。1995年から2015年にかけて、40~50代の未婚者数は大幅に増加し、親と同居する未婚者の割合も増加。親と同居する中年未婚者は1995年の113万人から2015年には341万人に達し、3.02倍になりました。
▼高齢化社会の進展
日本の高齢化が進むなかで、80代の親が50代の未婚の子を支える「8050問題」が浮上しています。このような世帯では、親が高齢であるため、経済的・身体的なサポートが必要となり、未婚の子が同居するケースが増えています。
▼経済的要因
経済的な理由も大きな要因です。未婚の子が親と同居することで、生活費を分担し、経済的な負担を軽減することが可能になります。また、親の介護が必要な場合、同居することで介護の負担を軽減できる利点もあります。
▼社会的孤立の回避
高齢者が単独で生活することによる孤立を避けるため、未婚の子が親と同居することが選ばれることもあります。特に、親が高齢である場合、子どもが同居することで、親の生活の質を向上させることが期待されます。
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