万一のときに直面したら、どうしたいか、どうしてほしいか、家族などの身近な人に話していますか? 大切なことと分かっていても、どうしても遠ざけてしまうものですが、実際にそのときがきたら対応に困るもの。ときには対応を誤ってしまうこともあるようです。
残念ですが、すでに手遅れです…命の期限を聞いた「元警察官・77歳父」すっかり意気消沈。さらに追い打ちをかける、35歳・暴走長女の「衝撃のひと言」 写真はイメージです/PIXTA

先妻の子にも相続権…争族防止のためにも「遺言書」が有効

大輝さん・絵美子さんは後妻の子。先妻には54歳の長男、53歳の次男がいて、その先妻も存命だとか。相続においては、民法において相続人になる人が決められていて、大きく配偶者と血族に分けられます。配偶者は常に相続人となり、血族は優先順位が決められています。

 

まず第1順位となるのが子。子がいなければ第2順位に移り、亡くなった人の両親。両親もいなければ第3順位の亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。

 

今回の場合、万一相続が発生したら、配偶者はすでに死亡しているので、子だけが相続人になります。先妻とは婚姻関係にないので、先妻には相続権がありません。ただし先妻の子は相続人になるので、計4人の子で遺産分割協議が行われます。

 

遺産分割の考え方は非常にシンプルで、有効な遺言書があればその通りに分割し、遺言書がなければ相続人同士で話し合います。

 

絵美子さんの要望で遺言書の作成をお願いされましたが、その際に気をつけたいのが遺留分。これは遺言を持っても侵すことのできない、相続人の遺産の取り分。配偶者や子、両親には認められますが、兄弟姉妹には認められません。その取り分は、法定相続分の半分。今回の場合、法定相続分は遺産の1/4。その半分である1/8は受け取れる権利があるのです。

 

もし遺言の内容が遺留分を侵害するものであれば、侵害されたものは遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。ただし、請求できる期限は遺留分侵害の事実を知ってから1年以内。あるいは相続開始後10年以内とされているので、注意が必要です。

 

 

[参考資料]

法テラス『遺言がある場合、相続はどのようになされますか。』

法テラス『遺留分の相続財産に対する割合はどうなっていますか。』

法テラス『遺留分侵害額請求とは、どのような請求ですか?』