年収1,000万円の大台を突破したエリートサラリーマン。高給取りでも大変とはよく聞くものの、一般庶民からしたら「そんなことないでしょ」と鼻で笑うもの。しかし、本当に大変で、新卒サラリーマン並みの生活をしているエリートもいるようです。
お金が足りません…月収70万円・48歳大企業勤務のエリートサラリーマン。住まいは「東京・中野の築40年アパート」「家賃は月7万円」の切実理由

エリートサラリーマン、5年前に離婚…当初の養育費は月16万円だったが

後藤さん、20歳の長男と、17歳の次男がいますが、5年前に離婚。性格の不一致によるもので、夫婦で話し合い、納得のうえで決まった円満離婚。だから慰謝料はなし。養育費は、当時の後藤さんの年収は850万円ほどだったので、相場は14万~16万円が妥当と、いったんは16万円となったといいます。

 

養育費の取り決めでよく挙げられるのが、家庭裁判所の「養育費の算定表」。家庭裁判所において養育費の金額を決める際に使われるもので、特別な事情がある場合には、養育費の増減の可能性があります。

 

養育費は親同士の事情で変わってくることも。たとえば病気で働けなくなったとか、逆に昇進して大幅に給与が増えたなど。

後藤さんの場合、この5年ほどで年収ベースで400万円ほど昇給。「養育費の算定表」を参考にすると22万~24万円程度となり、「もっと養育費をちょうだい」といわれかねませんが、元妻からそのような要求はいままで一度もなし。ただ現在、自主的に月30万円の養育費を渡しているといいます。

 

――長男が大学に入って、次男ももうすぐ大学受験。何かとお金がかかるタイミングですし、父親としてできるのはこれくらいなので。ただ……自分で決めたこととはいえ、大変ですね、毎月(笑)

 

月収70万円だと、手取りは48万円ほど。そこから30万円を引くと、残り18万円……400万円弱のボーナスがあるとはいえ、毎月の給与から生活費をやりくりすると、新卒社員のような暮らしを送らないとやっていけません。

 

【月収70万円・48歳サラリーマンの手取り額】

■額面…700,000円

■手取り額…481,926円

(天引き内訳)

・所得税…66,716円

・住民税…45,722円

・健康保険…35,500円

・厚生年金…59,475円

・介護保険…6,461円

・雇用保険…4,200円

※東京都在住と仮定

 

――夫婦の離婚に関しては、妻側の話がよくクローズアップされるじゃないですか。でも真面目に養育費を払っている人も多いんですよ。また扶養控除は相手にしか適用さえず、養育費を払っている私には適用されません。ちゃんとお金を払っているのに……ちょっと制度が追いついていない感はありますよね

 

厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によると、離婚時に養育費を取り決めているケースは全体の46.7%と半数以下にとどまります。さらに離婚した父親から「養育費を現在も受けている」は28.1%に過ぎません。

 

そのため、養育費を受け取る側については問題視され議論を呼んでいますが、養育費を払う側については特に問題視されていないのが現状です。

 

どちらにせよ、親の都合で犠牲になるのは子ども。親が離婚しようがしまいが、子がちゃんと幸せになれる制度の構築が望まれています。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

裁判所『平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について』

厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』