埼玉県の実家で一人暮らしをしていた84歳が逝去。遺品整理で実家を訪れた長男は、衝撃的な光景を目の当たりにします。誰にも相談できずに孤立していく、高齢者の心理的な障壁を紐解いていきます。
5年間入室拒否の「開かずの間」をこじ開けた61歳長男、目の前に広がる「異様な光景」に絶句。84歳母が死ぬまで隠し通した「800万円の使い道」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「しっかり者」だった母の死後、実家で見つかった異様な光景

埼玉県内の戸建て住宅で一人暮らしをしていた高橋静江さん(享年84・仮名)が亡くなったのは、昨年の秋。長男の高橋明さん(61歳・仮名)は、四十九日の法要を終えたあと、実家の遺品整理に着手しました。

 

「父が元銀行員だったからでしょうか、母も金銭管理には非常に厳しい人でした。家計簿を欠かさずつけ、常に家は整理整頓され、整然としていた。子どものころは『ちゃんと片付けなさい!』とよく叱られたものです」

 

そんな母が暮らしていた家なのだから、遺品整理もすぐに終わるだろうと考えていたといいます。 しかし「散らかっているから」と5年近くも入室を拒まれていた2階の物置部屋の扉を開けたとき、目に飛び込んできたのは予想だにしない光景でした。6畳の部屋の床が見えないほど、未開封の段ボール箱が積み上がっていたのです。

 

「中身を確認すると、通販で購入されたと思われるサプリメントや健康器具、そして同じメーカーの高級羽毛布団が5組もありました。すべて梱包されたままで、伝票の日付を見ると、ここ3年の間に集中して購入されていました」

 

明さんは、部屋の隅に置かれたサイドボードのなかから、母が遺したメモ書きと通帳を見つけます。そこには、特定の販売担当者の名前と「次回の電話予定」が細かく記されていました。

 

「通帳を確認したところ、父が遺した預金から、特定の業者に対して毎月のように振込が行われていました。一度に数十万円支払っている月もあり、3年間で総額は約800万円にのぼります。母の年金だけでは到底足りず、貯金を切り崩して支払いに充てていたようです」

 

明さんは、母との生前の電話を思い返します。「体調はどう?」と聞くたびに、母は「大丈夫、いいサプリを飲んでいるから。担当の人も親切にしてくれる」と繰り返していたといいます。

 

「当時は、母が元気に過ごしているならと深く考えませんでした。でも、部屋に残されていたのは、使う当てのない大量の物と、減り続けた口座残高だけでした。母が何を求めてこれほど買い続けたのか、今となっては聞くこともできません」