「老人ホーム」から「家族が危篤」との連絡…まずやるべきことは
吉田さん、とうとうその日が来たと振り返ります。
ある日の夜。1時をまわったころだったといいます。吉田さんの父が入居する老人ホームから電話がかかってきました。瞬時に悟ったといいます。
――呼吸が浅くなっています。これからいらっしゃることはできますか?
急いで自宅を出たといいますが、「結構、冷静な自分がいました。ある程度覚悟はできていたので」と吉田さん。まず向かったのはコンビニだったといいます。
――親が危篤だと聞いたら、まずはお金を引き出したほうがいいと聞いていたので、私も管理を任されていた父の口座からお金を引き出しました。とりあえず上限いっぱいの50万円ほどを
親が亡くなると、銀行口座は凍結され、家族でも引き出せなくなる。葬儀費用等に困り果てた……とはよく聞く話。そこで親の危篤の連絡を受けたら、まずはコンビニなどでお金を引き出しておいたほうがよいと、最近はアドバイスされることも(関連記事:『「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】』)。
実際は、死亡届を提出し、銀行に連絡を入れた段階で口座は凍結。金融機関によって異なりますが、再びお金を引き出すためには、一定の手続きが必要となります。
ただし、銀行に連絡せずに預金を引き出すと、相続を単純承認したとみなされます。単純承認というのは、「何があろうと財産を引継ぎますよ」と承認したということ。もしマイナスの財産、つまり負債があったら……相続放棄はできず、負債を抱えることになります。このようなリスクがあることもしっかりと確認したうえで対応することが重要です。
山下さんの場合も、負債はないことを事前に確認。来るべきときに向けて準備をしておき、連絡と共にコンビニに走ったのは、「念のため」だったそう。そしてきちんと看取ることもできたといいます。
ちなみに死亡届の提出期限は、死亡を知ってから7日以内。ここには死亡診断書を受け取った日も期間に含まれます。金融機関への連絡の期限はありませんが、銀行担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀が行われたことを知ったりして、親族へ連絡。そのうえで口座凍結に至ることもあります。また年金の振込みがなくなったことで、死亡したことが知られ、口座凍結となったというケースも。
いずれにしても、親が亡くなった→すぐに口座凍結、という事態にはならないので、しっかりと看取ることを優先したいものです。
[参考資料]