「老人ホーム」で最期を迎える人が増えている
84歳になる父親が老人ホームに入居しているという、吉田直樹さん(仮名・54歳)。施設に入ったきっかけは、母が亡くなったこと。家事能力のない(だろう)父がひとり暮らしができるイメージがなく、同居を呼びかけるも父のほうから「お前たちの家族に迷惑をかけたくない」と拒否。妥協案として、施設に入居することになったといいます。
老人ホームの条件としては、
・入居一時金は1,000万円以内、月額費用は父の年金月21万円に収まること
・1人部屋に入居できること
・看取りまで対応していること
これらを最低条件に決まったのが、実家から車で30分、吉田さんの自宅からは車で1時間半ほどの介護付き有料老人ホーム。入居当時、吉田さんの父は介護を必要としていませんでしたが、今後必要になった際に、手厚い介護にも対応しているところが好感触だったといいます。
入居から5年。最近は体力も衰え、「万一のことを考えておいてください」といわれていたといいます。
厚生労働省『令和5年人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、2023年の死亡数に対して、81.2%の人が「何かしらの施設」で亡くなり、「自宅」で亡くなるのは17.0%。施設で亡くなる割合をさらに細かくみていくと、「病院」が最も多く全体の64.4%。「老人ホーム」が全体の11.5%、「介護医療院」が全体の4.0%と続きます(関連記事:『【ランキング】47都道府県「老人ホーム死亡率」』)。
老人ホームで亡くなる人は多少の増減はあれど、右肩上がり。2001年、亡くなる人の2.0%にすぎなかったのが、2013年には5.3%と5%を超え、2021年には10.0%と、10人に1人は老人ホームで亡くなる水準に達しました。
今後も高齢の単身世帯が増えていくに従い、老人ホームに入居する人も増加。自ずと、ホームで最期を迎える人も増えていくと考えられます。