内閣府の調査によると、国民の50人に1人は引きこもり状態にあるとか。年代によって引きこもり状態になる理由はさまざまですが「うまくいかない人間関係」は大きな要因になることも多いようです。そんな引きこもりから、どうしたら脱出できるのでしょうか。
実家に引きこもる34歳元サラリーマン…外出は近所のコンビニへ月3回程度「もう、生きているのもツライ」と絶望の10年。それでも社会復帰を実現した62歳母「きっかけのひと言」 (※写真はイメージです/PIXTA)

新卒入社した会社で人間関係に悩み…引きこもり

塾講師として働く中島翔太さん(仮名・34歳)。実は10年ほど実家に引きこもる生活をしていたといいます。それまで、都内有名大学に進学し、就職も人気企業と、順風満帆な人生そのもの。しかし、初めての挫折を味わいます。

 

――入社した会社で、うまく人間関係をつくることができなかった

 

直属の上司とは折り合い悪く、同期の間でもどこか浮いている感じがしたという翔太さん。知らず知らずにためこんでいたストレスからか、ある日、急に朝の通勤電車に乗るのが怖くなったといいます。「きちんと病院に行っていたら、病名がついていたかもしれない」といいますが、病気と認めるのも怖く、結局そのまま。1週間後には会社を辞める意思を伝え、そのまま退職。以来、引きこもりの生活が始まったといいます。

 

――父も母も、最初はすごく怒っていました。「そんないい加減なことをしたらいけない」とか「病院にいって治してもらえ」とか。そんな父と母を避けるよう、父と母がいるときは寝る、いないときに起きるというサイクルになりました

 

どうすることもできないと感じたのか、翔太さんの父親と母親は、とにかく翔太さんのそばにいてただ見守る、ということに徹するようになったといいます。

 

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)』によると、15~39歳の引きこもり傾向のある人に現在の外出状況になった理由を尋ねたところ、調査時期からトップは「新たなコロナウイルス感染症が流行したこと」で31.7%。続く理由が「人間関係がうまくいかなかった」で16.5%。「病気」「退職した」「職場になじめなかった」「就職活動がうまくいかなかった」と続きます。また「特に理由はない」も20.1%と、自分でも引きこもりの原因はわからない、というケースも多いようです。