(※写真はイメージです/PIXTA)

老後に向けて資産計画を立てる際、「子や孫」の援助についても盛り込んでいるという人はどれだけいるでしょうか? どんなに綿密に計画を立てていても、「孫」が原因で老後破産に陥ってしまうケースがあると、石川亜希子AFPはいいます。今回は、年金24万円で暮らすA夫妻の事例をもとに、老後破産危機に陥る原因と注意すべきポイントについてみていきましょう。

“安請け合いするんじゃなかった…”Aさんが「後悔」したワケ

こうして、孫の塾代を支払うようになったAさん。最初はたしかに月に2~3万円だった塾代ですが、学年が上がるにつれ費用が上がっていきます。また、長期休みになると夏期講習や冬期講習があり、それにも別途費用がかかります。Aさんは、しだいに塾代の負担を重荷に感じるようになっていきました。

 

総務省の「令和5年度家計調査報告書」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における家計収支は、平均で収入(年金など)が24万4,580円、支出が28万2,497円となっています。

 

本来ならばA夫妻は、娘家族に援助するどころか、自分たちの生活だけで精一杯のはずです。たしかに預貯金はありますが、長年住んだ自宅のリフォームや家電の買い替えなどもそろそろ必要になってくるほか、2人もいつまで健康でいられるかわかりません。手術や入院、介護が必要になれば、その分出費が必要です。

 

孫が小学5年生になる頃には、残高が月に10万円近く目減りするようになりました。「老後破産」という言葉が頭をよぎります。

 

お金が減ってしまうという不安から、以前のように趣味や旅行も楽しめなくなってしまいました。「安請け合いするんじゃなかった……」見栄を張った自分に後悔の念が募ります。

 

そんなある日、さらなる問題が起こりました。

いい加減にしてくれ!…長女の勝手な言い分に、父激怒

いつも、実家では夫婦の不安をよそにくつろぐCさんですが、その日は違いました。現れるなり、真剣な面持ちでAさんに言いました。

 

お父さん、私、娘としばらくここに住んでもいい?

 

まさか離婚か、と思ったAさんでしたが、そうではありませんでした。どうやら、Cさんの夫に転勤の辞令が出たようです。

 

「こっちはせっかく受験体制なのに、もったいないじゃない? だから、夫には単身赴任してもらおうと思って。でも、2拠点だと生活費も2倍かかっちゃうから、家は賃貸に出して、私たちはここに住めばいいかな~って。それなら学校も塾もそのまま通えると思うし」

 

Aさんは、自分たちの都合しか考えていない長女の勝手な言い分に、堪忍袋の緒が切れました。

 

いい加減にしてくれ! もうこれ以上の援助はできない。自分たちでなんとかしたらどうだ!

 

普段は温厚なAさんが声を荒げたことに、Bさんも長女もびっくり。「……そうよね、勝手なこと言ってごめんなさい」長女は、改めて夫婦で話し合うと言って帰っていきました。

 

長女が帰ったあとで、言いすぎてしまったかな、と少し後悔したAさんでしたが、不安だったことを吐き出すことができて、すっきりしている自分もいました。

 

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