初期費用やランニングコストが高い
タワーマンションの購入には、一般的なマンションと比べて高額な初期費用が必要となります。前述の通り物件価格自体が高額であり、都心部の人気エリアでは多くのタワーマンションが物件価格1億円を超えています。高額な購入費用に比例して、諸費用も高くなります。
さらに、タワーマンションの維持管理には多額のコストがかかります。24時間体制のセキュリティシステムの運用、エレベーターの保守、共用施設(フィットネスジム、プール、ラウンジなど)の管理など、高度な設備やサービスの維持には相応の費用が必要です。そのため、管理費や修繕積立金は一般的なマンションよりもずっと高額になる傾向があります。
これらの高額なランニングコストは、投資収益を圧迫する要因となります。
また、ランニングコストの一つに固定資産税がありますが、2017年1月1日以前に新築されたタワーマンション(高さ60m以上の居住用建築物)では、低層階でも高層階でも固定資産税の税率は同じでした。
しかし、税制改正により、2017年1月2日以後に新築されたタワーマンション(2017年3月31日までに売買契約が締結された居住者用の専有部分を含むものを除く)では、2018年度以後の各年度分の固定資産税について、階数が上がるごとに税率が高くなるように変更されました。そのため、高層階の物件を選ぶほど固定資産税の負担が大きくなるということも理解しておく必要があります。
限られた資金ではリスク分散が難しい
タワーマンションは高額な物件が多いため、限られた資金では複数の物件に投資してリスクを分散することが困難になります。一つの物件に多額の資金を投じることになるため、その物件の価値変動が投資全体に大きな影響を与える可能性があります。
一般的な不動産投資では、複数の物件に分散投資することでリスクを軽減する戦略が用いられます。例えば、1億円の資金があれば、2,500万円の物件を4つ購入することで、地域や物件タイプを分散させることができます。しかし、タワーマンションの場合、1億円では1物件の購入がやっとという場合も多く、分散投資が困難になります。
エリアによっては経済状況が悪化したり、競合物件の増加により需要が低下したりした場合、投資全体に大きな影響を与えることになります。
このようにタワマン投資では、限られた資金でリスクを分散することが難しく、結果として投資リスクが高まる傾向があります。これは個人投資家にとって大きな課題となり得ます。
競合物件の増加により需要が低下する可能性がある
都市部、特に大都市圏においてタワーマンションの建設が急速に進む中、競合物件の増加により需要が低下する可能性があります。また、新しいタワーマンションが建設されると、最新の設備や魅力的な共用施設を備えていることが多いため、既存の物件の相対的な魅力が低下する可能性があります。
さらに、タワーマンションの建設ラッシュは、将来的な供給過剰のリスクももたらします。例えば、経済状況の変化や人口動態の変化により、タワーマンションへの需要が減少した場合、大量の空室が発生する可能性があります。これによって、賃料のさらなる下落や物件価値の低下につながる可能性があります。