大学を出たとしても、就職先がない……そんな事態に見舞われた就職氷河期世代。いまの40代~50代前半あたりが、その世代といわれていますが、なかには就職できたものの不本意な就職だったため退職、そのまま引きこもりとなるケースも。そんな人たちの生活を家族が支えるというのも、よく見られたパターンです。しかし時は流れ、その家族も高齢化。新たな問題へと発展しています。
家賃2万5,000円の市営団地に「20年引きこもる」氷河期世代の50歳長男、ともに暮らしてきた年金月17万円・87歳母逝去で窮地「どう生きていけばいいのか」 (※写真はイメージです/PIXTA)

パワハラに悩む氷河期世代の男性…30歳で離職→引きこもり

きっかけは、会社を辞めたことでした。

 

吉田大輔さん(仮名・50歳)、さかのぼること20年前、就職が厳しい時代、やっとのことで掴み取った就職先でしたが、人間関係に悩み退職を決断。いまでいうパワハラが原因でした。ただ当時はそこまで問題視されることはなく、ただ会社からのノルマに耐えきれず辞めていった社員のひとりでしかなかったといいます。

 

2022年4月、事業主にパワハラ防止の措置を義務づけた「パワハラ防止法」が全面施行となりましたが、そもそも職場において行われるパワハラは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの の3つの要素を満たしたものをいいます。

 

――生まれる時代が悪かったんです

 

パワハラとの因果関係はわかりませんが、退職前に精神疾患を発症。それでも「せっかく就職できた会社なんだから」と、働き続けようとしていたといいます。しかし「このままでは大輔自身が壊れてしまう」と母・光枝さんが心配し、半ば強引に会社を辞めることになりました。

 

それ以来、病気は一進一退。再び働きに出ることはできず20年、基本、必要以上に外に出ない生活が続いています。内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』によると、広義の引きこもりの出現率は40~69歳で2.97%。40~65歳に限ると、2.02%。

 

*「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが,家からは出ない」「近所のコンビニなどには出かける」に当てはまる人を「狭義の引きこもり」、「趣味の用事のときだけ外出する」人を「準ひきこもり」、さらにこれらの人々すべてを含んだものを「広義のひきこもり」と呼ぶ

 

また「現在の外出状況になってからの期間」を尋ねたところ、「50~54歳」で「2~3年未満」が19.7%、「1~2年未満」が15.2%、「3~5年未満」が12.1%と続きます。また吉田さん同様、「20年以上」は4.5%でした。

 

さらに同年代に「現在の外出状況になった理由」について尋ねたところ、「新型コロナウイルス」が31.0%、「病気」が25.9%続いたのち、「退職したこと」が17.2%と続きます。