60代と70代の保有資産を比べてわかった「老後生活の実態」
将来不安から若いときから資産形成に取り組むのが当たり前になりつつありますが、誰もが「いったいいくら必要か」という疑問をいだいたことがあるでしょう。実際はその人のライフスタイルなどによって用意すべき金額は変わってくるので一概にいえませんが、いまどきのシニア層がどれほどの資産をもっているのかは、ひとつの目標になるかもしれません。
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査 [二人以上世帯調査]』によると、金融資産保有世帯における保有額は、60代で平均2,588万円、中央値が1,200万円。70代で2,188万円、中央値で1,100万円となっています。
*定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用のためまたは 将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している 金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く
その資産配分をみていくと、60代平均2,588万円のうち「預貯金」が1,130万円。全体の43.7%を占めています。続いて「株式」が520万円で、全体の20.1%。「生命保険」264万円(全体の10.2%)、「投資信託」243万円(全体の9.4%)。70代では平均2188万円のうち「預貯金」が964万円で、全体の44.1%。続いて「株式」が459万円で全体の21.0%。「生命保険」248万円(全体の11.3%)、「投資信託」190万円(全体の8.7%)と続きます。
60代と70代で、それほど際立った大きな差はなく、世代間で資産額は平均値で400万円、中央値では100万円ほどしか違いありません。あくまでも将来のために資産形成をしてきた層に限りますが、老後生活のなかで意外と資産を減らしていないのです。多くの人は老後と聞いたとき、年金だけでは足りないから貯金を取り崩して生活していると想像するでしょう。実際は普段は年金だけでやりくりし、急かつ少々大きな出費に際しては貯蓄を取り崩す……そんな生活を送っているかもしれません。