実家を出て、数年が経過し、近ごろはとんと顔を見せに来なくなった我が子。今年も残り8週間。年末くらいは、と帰省した子どもとともに家族団欒の時間を過ごそうと計画している人も多いでしょう。しかし、久しぶりに会った子どもからは驚くような話をされることもあって……。本記事では、Aさんの事例から、親と子の老後のマネープランについて、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
息子が東大だから老後は大丈夫…月収30万円・鼻高々の62歳埼玉バス運転手、大晦日に自慢の息子から放たれた「衝撃のひと言」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

息子から想定外のひと言

息子は東京大学卒業後、外資系有名企業に就職し、数年が経過しました。息子は大学時代、奨学金を受けながら家を出て下宿し、懸命に勉強とアルバイトを両立させました。卒業後も1人暮らしを続け、実家に帰るのは年に1回、お正月のタイミングだけ。

 

大晦日の夜

大人しい性格の息子はもともと口数が少なかったため、帰省してもたいていはAさんが1人しゃべっています。Aさんが62歳になった年の大みそかの夜、お酒も入り、ほどよく酔いが回ったAさんは、「オレが育てたんだ。東大に入って高い給料をもらえる会社に就職できるなんてなあ。いまのお前(息子)があるのはオレのおかげだろう。なあ、そうだよな。塾の夏期講習だって高かったんだぞ。教育投資ってやつだな。老後はお前をあてにしているからな」と息子の肩に手を回しながら絡みます。

 

「そろそろバスの運転手も引退だが、老後にもらえる年金が少ない。お前に面倒をみてもらわないと」と饒舌なAさんを遮り、息子は肩の手を振り払います。驚いたAさんでしたが、息子が話があると珍しく口を開いたので、座り直して話を聞くことに。

 

「育ててもらったことには感謝している。僕は努力して東大に進学し、いまの会社に就職した。大学の授業料も奨学金とアルバイトでまかない、1人で頑張ってきた。これから海外に転勤が決まったから、僕は自分のことは自分で頑張る。だから父さんも僕に頼ることを考えずに、老後は自分たちで頑張ってください。おそらく、日本に帰国することはほとんどないと思います」Aさんは息子の想定外の話に酔いも一気に醒め、驚きを隠せません。自慢の息子が海外に永住!? オレはどうなるんだ……。驚きのあまり放心状態になるAさん。

 

Aさんは息子は大人しい性格で、面倒をみろといえばみてもらえるだろうと思っていました。苦労して子どもを育てたのだから、恩返しを受けて当然だろうとも。息子が東大卒だから老後は安泰、と思っていても現実は大きく異なったようです。