5年ほど前に世間を騒がせた「老後資金2,000万円不足問題」の影響からか、老後を見据えて「2,000万円の貯蓄」がひとつの目標になっています。しかし、2,000万円の蓄えがあるからといって、老後が安泰かといえば、そんなことはなさそうです。
お前、正気か?〈年金月18万円〉〈貯蓄2,000万円〉の67歳定年サラリーマン、安泰の老後を一気に崩壊させた、大企業で働く「39歳息子のひと言」 (※写真はイメージです/PIXTA)

自宅をバリアフリーにリフォーム…それでも「貯蓄2,000万円」の老後は安泰

老後の生活設計について話をしてくれた井上浩一さん(仮名・67歳)。65歳で完全に引退をしたという現在、年金は月18.5万円。同い年の妻・由美子さん(仮名)の年金が月10万円ほどで、合わせて28.5万円。手取りにすると月24.5万円ほどが生活のベースになるといいます。

 

退職金で住宅ローンを完済し、さらにバリアフリーのリフォームを行い、もう20年は快適に暮らすことができそうだといいます。

 

――老後2,000万円不足問題とか騒がれたじゃないですか。だからリフォームなどしても、最終的に2,000万円の貯蓄が残るように頑張りました

 

老後2,000万円不足問題。2019年にセンセーショナルに報じられた話題はインパクトが強く、老後のための貯蓄として「夫婦で2,000万円」がひとつの基準になっています。

 

ちなみに、この際にベースになったのは、総務省による2017年の『家計調査 家計収支編』。ここで65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な家計収支が月24万3,838円で、それに対し税金や社会保険料などを除いた可処分所得が18万0,421円。月5万円ほどが足りないという結果から、老後30年と考えると約2,000万円足りないという報告がされ、その結果だけがひとり歩きしてしまいました。

 

2023年の最新調査結果でみてみると、1ヵ月の支出は25万0,959円に対し、可処分所得は21万3,042円。1ヵ月3万7,916円が不足するという計算で、老後30年だと1,300万円ほどが不足するという計算です。

 

いずれにせよ、老後、安心して住むことのできる住まいがあるうえで、貯蓄が2,000万円ある井上さん夫婦のこれからは、安泰といっても過言ではないようです。