再び、実質賃金がマイナスとなり、「給与が上がらない現実」を目の当たりにしている世のサラリーマン。いよいよ子どもの希望も叶えられないほど、切羽詰まってきました。
月収42万円・46歳サラリーマン「地元の国立大以外は認めんぞ」に受験生の息子は大反発。「親父には頼らない」の先に待ち受ける「残酷な結末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

地元じゃ中の上でも…とても「東京の私大」には通わせられない

厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2024年8月の速報値、所定内給与は26万4,038円で前年同月比3.0%増。現金給与総額は29万6,588円で3.0%増、32ヵ月連続のプラスとなりました。さらにパートタイムを除く一般労働者に限ると、所定内給与は33万3,182円で2.9%増。現金給与総額は37万7,861円で2.7%増、41ヵ月連続のプラスとなりました。

 

景気よく聞こえるかもしれませんが、報じられている通り、令和2年平均を100とした実質賃金指数は、現金給与総額は84.1と前年同月比0.6%減。3ヵ月ぶりのマイナスとなりました。つまり物価増加分の賃金増加分を上回り、実質給与減の状態に戻ったということです。賃上げ効果により、今年6月、27ヵ月ぶりに実質賃金がプラスに転じたものの再びマイナスに。プラスに転じたのは企業業績を反映した賞与の効果が大きく、一時的なもの。庶民感覚としては、まだまだ給与減が続いている……そんな苦しい状況です。

 

また日本銀行『生活意識に関するアンケート調査(第99回<2024年9月調査>)』によると、1年後の景況感について、「良くなる」は6.6、「悪くなる」は36.2。「良くなる」から「悪くなる」を引いたD.Iは-29.6。今後に対しても明るい材料がなく、何ともどんよりしている世の中の空気感が表れています。

 

なかなか先が見通せないなか、世のお父さんたちも、子どものためにと何でもお金をかけてあげる余裕がなくなってきました。

 

――とても東京の私大に通わせるだけのお金がなくて、長男に「地元の国立大学以外は進学を認めない」といっています

 

地方の広告代理店に勤める山本大輔さん(仮名・46歳)。月収42万円、子ども2人いて、手取りは月33万円ほど。この地域では「中の上」くらいの給与だといいます。

 

総務省『小売物価統計調査(動向編)』によると、2023年、国立大学の入学金は文系・理系どちらも28万2,000円、授業料は文系53万8,841円、理系で53万8,859円。4年間で、文系・理系ともに243万円ほどになります。

 

一方、私立大学の入学金は文系で21万9,481円、理系で23万4,113円。授業料は文系で75万9,376円、理系で110万5,023円。4年間で文系なら325万円、理系で465万円です。

 

さらに全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』によると、2023年、下宿生の「仕送り」は平均7万0,120円。「奨学金」は平均1万9,660円、「アルバイト」は平均3万6,110円。収入の合計は月12万9,240円でした。

 

自宅から通えない大学であれば、国立大学で年間135万円ほど、私立大学であれば160万~200万円ほどの負担になるわけです。山本さんの収入だけでは、ちょっと東京の大学は難しい、地元でも私立は避けてもらいたい……息子であっても本音をいわないといけないほど、家計は火の車のようです。