――母さん、どうしたの?
リフォームしてそれほど経っていない実家が、さらに見た目キレイに。美代子さん曰く、この半年ほどで、床下や屋根裏など、傍からはみえない部分から、外構や玄関、水回りなどをリフォームをしたとか。きっかけは、白アリ業者の突然の訪問。無料点検という触れ込みで家を尋ねてきたといいます。「タダなら……」と点検してもらったところ、「大変、結構、喰われちゃってますよ、白アリに」と点検業者。それで床下や屋根裏を直してもらったところ、次に屋根も、玄関も、水回りも、外構も……次から次へと不良が見つかり、都度対応していったのだとか。
次から次へとどこぞの業者がやってくる様子を不審に思っていた近所の人が「大丈夫、騙されていない?」と声をかけてくれたのだとか。そこで、近所の人の知り合いの業者に新たにリフォームを施したところを見てもらったところ、「こんな雑な仕事はない」「こんなの白アリ対策にはならない」など、次から次へと欠陥が出てきたという顛末。美代子さん、いいカモにされていたわけです。
美代子さんが哲也さんに電話をしたのは、どうしたらいいかわからず助けを呼びたかったから。しかし、騙された(だろう)ことをいうと怒られるかと思い、ただ悔しいと吐露するしかなかったといいます。
――なんで母さんを怒るのさ。怒るなら、母さんをだましたかもしれない業者のほうだろう
哲也さんと美代子さん、少しでも払ったお金が戻ってくるか、まずは専門家に相談をしているところだといいます。
ひとり暮らしの高齢者の増加と共に、昨今問題になっているのが、高齢者に対する過量販売。特に認知症を患っているなど、判断力が劣っている高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが増えています。高齢者自身はトラブルに遭っているとは気づかないケースも珍しくはありません。家族ごとに事情があるので、同居することが難しい場合もあるでしょう。異変に気づくことができるよう、直接会うことはできなくても、コミュニケーションは密にしたいものです。
[参考資料]