高齢者の住まいとして、有力な選択肢となっている老人ホーム。その種類は多彩で、施設によってさまざまな特徴をもっています。そのため、しっかりと吟味しないと、まさかの事態に直面することも珍しくはありません。

高齢者の100人に1人以上が有料老人ホームに入居

厚生労働省『令和4年社会福祉施設等調査』によると、2022年、有料老人ホームは1万7,327施設で、前年から603施設増加。また定員66万6,276人に対して、在所者数は54万6,190人。在所率は84.6%でした。

 

2022年の65歳以上人口は3,623万6,000人。仮に有料老人ホームに入居するすべての人が65歳以上と仮定すると全体の1.5%。民間以外の施設の利用者も合わせると、老人ホームは高齢者の住まいの有力な選択肢といっても過言ではないでしょう。

 

老人ホームといっても種類はさまざまですが、まず大きくわけると、公的な施設と民間の施設にわけることができます。

 

公的な施設は大きく4つに分かれます。


 

■ケアハウス

経済的な負担が比較的小さい軽費老人ホームのひとつ。家事などの生活支援サービスが提供される一般型と、介護型があり、生活支援サービスに加え、介護サービスが利用可能な一般型がある。

■特別養護老人ホーム

いわゆる特養。要介護3以上が対象だが、認知症の場合など要介護度1~2でも入居が許可される場合もある。

■介護老人保険施設

いわゆる老健。退院後、在宅生活に復帰できるよう、リハビリを主とした施設。入居期間は3ヵ月程度が一般的。

■介護医療院(介護療養型医療施設)

2018年に創設された医療ニーズが高い高齢者向け施設。介護療養病床に相当するⅠ型は入居者48人あたり1人、老人保健施設に相当するⅡ型は入居者100人あたり1人の医師の配置が義務づけられている。

 

民間施設は大きく3つに分かれます。

 

■有料老人ホーム

民間企業が運営する、いわゆる老人ホーム。さらに介護保険サービスが定額の介護付き有料老人ホームと、外部の介護サービスを利用する住宅型有料老人ホームに分かれます。

■サービス付き高齢者向け住宅

いわゆるサ高住。介護施設ではなく、住宅として扱われる。外出や外泊ができる場合が多く、自由度の高い生活が送れる。

■グループホーム

認知症の人が5~9人程度の少人数でユニットをつくり、専門職員からサポートを受けながら共同生活をする施設

 

老人ホームの種類によって費用はもちろんのこと、入居する人の介護度や認知症の対応の有無など、条件はさまざま。施設によっても異なるので、入居条件を細かくチェックすることが重要です。