一度貧困のワナに陥ってしまうと、抜け出すことは困難です。貧困が貧困を生み、そんな連鎖がずっと続いていくのです。悲劇としていいようがない「貧困の連鎖」とは。今回はAさんの事例とともに、日本の貧困の実態について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
“親の低収入”が子に連鎖…年収130万円の30代男性、女手一つで育ててくれた母を恨まずにはいられない「切なすぎる理由」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

行政等の支援も活用して負の連鎖を断ち切る

2013(平成25)年子どもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律では、「国はこどもの貧困の解消に向けた対策を総合的に策定し及び実施する責務を有する」とあります。つまり、教育の支援・生活の安定に資するための支援・保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援・経済的支援などのために必要な施策を講ずるとなっているのです。

 

Aさんの家庭のように、ひとり親の場合、子どもにも貧困が連鎖することもあります。現在では、行政機関の支援体制は、たとえば教育であれば、就学支援制度のように無償化が広がってきています。

 

Aさんは、自分自身の弱さについて反省しつつ、中卒で社会にでたことを悔やんでいます。いまからでもスキルアップし、自信をもって働くことができればと願うばかりです。

 

<参考>

こども家庭庁:令和4年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/0ccb3a83-155c-4c5e-888e-8b5cbc9210fe/c6fc81e7/20231220_resources_white-paper_02.pdf

 

厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査結果の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/dl/03.pdf

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構生涯賃金など生涯に関する指標https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf

 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表