誰もが訪れる「親の死」。悲しみに包まれるなか、相続税の申告などのために「遺品整理」を行う必要があります。そのとき思わぬものを発見し、仰天することも珍しくないようです。
年金18万円・実家でひとり暮らしの〈72歳父〉急逝。思い出に浸りながら「遺品整理」の〈40代の子どもたち〉が目撃した「亡父の別の顔」 (※写真はイメージです/PIXTA)

かつら、衣装、刀…父親が遺した「謎」の答え

小林さんの父親の書斎から出てきたのは、金や青などさまざまな髪色のかつら、どこで着るのかわからないような奇抜な服、何に使うのかわからないような刀のようなもの……何が何なのかわからない小林さんたちは、しばらく無言になってしまったといいます。

 

ただ妹が「わかった、これだわ」と発したのを機に、謎はすべて解けたといいます。

 

――これ、コスプレするためのものじゃない?

 

かつらや服などと一緒に出てきたのは大量のマンガ。小林さんも知っているようなメジャーなものもあれば、最近の新しいものまで。子どもたち、3人ともマンガやアニメには疎くよくわかりませんでしたが、そのなかのひとつが父親のお気に入りのよう。表紙で描かれているキャラクターの絵を見る限り、かつらや衣装などはそのキャラクターになりきる、コスプレするための道具だったのです。

 

――お父さん、こんな趣味があったんだ

 

遺品整理を通じて、父親の意外な一面を発見した小林さんたち。コスプレイヤーの仲間たちと笑顔で写る写真も見つけ、思わずほっこりしたそうです。

 

――楽しそうね、お父さん

――ねっ、趣味とか何もない人かと思った

――こんな風にも笑うんだ、親父

 

再び、話に花が咲き、作業は停滞。「どれくらい時間がかかるんでしょうね」と大笑いの小林さん。父親との急な別れではあったものの、小林さんたちは、何とも幸せな時間を過ごしているといいます。

 

[参考資料]

総務省『統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』

厚生労働省『令和5年国民生活基礎調査』

株式会社林商会『遺品整理に関する調査』