サラリーマンであれば「定年」がひとつの区切りになり、6割ほどの企業が60歳を定年としています。一方で、早期退職制度を利用して、定年を待たずに会社を去るケースも。早期退職の場合、多くが退職金を優遇して受け取ることができるので、それを利用して新たな挑戦をする人もいるようです。
「月収65万円」「退職金2,600万円」大手メーカーを早期退職した55歳サラリーマン夫、想像をはるかに超える転職先に54歳妻、衝撃「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

旅行先で聞いた夫からの仰天告白。妻、意味わからず二度聞き

――30年以上、会社のために頑張ってきたのだから、これからは自分のために生きたい

 

大手メーカーに勤めていた清水誠さん(仮名・55歳)が、早期退職制度に応募することにした理由です。長年連れ添ってきた妻の洋子さん(仮名・54歳)も、誠にさんの決意を応援してくれました。

 

【大卒サラリーマン・早期優遇による退職金の目安】

勤続年数20~24年:2,144万円(51.7万円)

勤続年数25~29年:2,151万円(56.6万円)

勤続年数30~34年:2,675万円(60.9万円)

勤続年数35年以上:1,515万円(50.0万円)

出所:厚生労働省『令和5年 就労条件総合調査』

 

勤続30年強。退職時の月収は65万円。早期優遇で2,600万円の退職金を手にし、安定した生活からの転身。誠さんさんは新たな挑戦に期待感が満ち溢れていました。

 

誠さんは何に挑戦するのか?

 

話はさかのぼること、1年ほど前。夫婦で旅行に行った際に、早期退職したいこと、そして新たにチャレンジしたいことを洋子さんに打ち明けました。

 

誠さんの口から語られたのは、あまりに想定外の言葉。「あまりに突拍子もないことをいうので、最初は『あれっ、聞き間違いかな。何かの間違いかな』と思いました」と、理解できず、洋子さん二度聞きしたといいます。

 

――だから、会社を辞めて農業をやりたいんだ

 

長年、オフィスで働いてきた誠さんが、まさか農家になりたいとは……。住宅ローンの返済は終え、また子どもたちは大学を卒業し、教育費の心配はありません。あとは自分たちの老後のためにお金を貯めていくだけ。そんなことを考えていただけに、洋子さんはすぐに「応援する!」とはいえなかったといいます。しかし、誠さんの熱量に根負け。

 

――夫は、あまり自分が、自分がと主張する人ではありません。しかし、そんな夫が折れることはなかった……もう何をいっても変わらないんだなと諦めました(笑)