学校を卒業し、社会人になってから、仕事にまい進する日々が続きます。特に家のローン返済や子どもの教育費などが加わると、一心不乱に仕事、仕事、仕事……となっていくでしょう。無我夢中になっていたときに、ふと「定年」の2文字が目の前に現れます。そんな生活を思い描くか……誰もが胸を躍らせているなか、なかにはタガが外れてしまう人もいるようです。
お恥ずかしい…60歳定年サラリーマン、「退職金2,000万円」がわずか「90日」ですっからかん。きっかけは「人生初めての海外旅行」 (※写真はイメージです/PIXTA)

シニアの楽しみ、第1位は「旅行」

ソニー生命が全国のシニア(50歳~79歳)の男女に対し『シニアの生活意識調査2024』によると、現在の楽しみとしてトップだったのは「旅行」で45.3%。仕事のある現役世代は、長期休みを利用した旅行も実家への帰省が定番で、なかなか楽しみとして旅行を企画するのは難しいもの。時間とお金があるシニアだからこその楽しみといえるかもしれません。

 

【「シニアの楽しみ」トップ10】

1位「旅行」…45.3%

2位「テレビ・ドラマ」…39.9%

3位「グルメ」…28.1%

4位「映画」…25.9%

5位「読書」…22.3%

6位「スポーツ」…20.8%

7位「音楽・楽器」…20.7%

8位「健康」…19.4%

9位「子ども・孫」…16.7%

10位「ガーデニング・家庭菜園」…15.9%

 

さらに「旅行」のための1ヵ月の支出は平均3.2万円。1年にすると38.4万円です。小旅行を何度も楽しむか、どどーんと豪華な旅にするかはそれぞれの好みでしょうか。

 

また「この1年のうち体験してよかったこと」においても、「旅行」が圧倒的トップ。実際に訪れて良かったところとして、各地域、有名観光地が並びますが、たとえば海外では「韓国」「台湾」「ハワイ」「ベトナム」「アメリカ」「タイ」など、多彩なラインナップです。

 

小川悟さん(仮名・60歳)もまた、現役時代、「時間に余裕ができたら旅行にでも」と頑張ってきたひとり。2人の子どもがまだ小学生だったころに奥さんを亡くし、以来、仕事に子育てに、必死で頑張ってきたといいます。

 

そして60歳定年を前に、下の子の就職も決まり、晴れて子育ては終了(まだ終わらないという先輩の声もありますが)。定年までわずかで、あとは自分がどう生きるかを考えるのみ……そう思いを巡らせているなか、思いついたのが「旅」だったのです。

 

――妻とはいわゆる授かり婚だったので、新婚旅行にも行けず。夏には妻の実家、正月にはわたしの実家に帰省していたので、旅行らしい旅行をしたことがなかったんです

 

40年近く、とにかくがむしゃらに働いてきた小川さん。60歳の定年を区切りにパーッと旅に出ようと計画を始めたといいます。