夫「家のことはちゃんとして」のひと言に、普段は温厚な妻は…
そんな夫婦にある日、大騒動。香織さんがパートに出た日、夜から長男の塾があることを忘れていたといいます。帰りは夜9時を回るため、毎回小さなお弁当を持たせているのだとか。大急ぎで準備をしたあと、さらに次男はサッカーの練習に。香織さん、その付き添いで外出。帰宅は夜の8時を回っていたといいます。そこにはすでに帰宅していた健太さん。ちょっと不機嫌な顔をしていたといいます。
――皿くらい洗っておけよ、疲れて帰ってきてその状態だと、余計疲れるわ
大急ぎでお弁当を作ったままの台所。それをみて舌打ちをしながらネクタイを外す健太さん。
――家事くらいちゃんとしてよ。俺より家にいるんだからさ
――晩飯はなに?
健太さん、不機嫌に聞いたところで、香織さんはブチ切れます
――子どもじゃないんだから、散らかっていたら片付けたらいいでしょ!
――家事も子育ても丸投げのくせに。家のこと、ちゃんとしてほしいなら、もっと稼いできてよ!
あまりの剣幕に健太さんも次男も目をまん丸にして仰天。
――いままで溜めに溜めたストレスが一気に出ちゃいました……
温厚であまり怒るイメージのないという香織さん。そんな妻の見たことのない顔に少しは反省をしたのでしょう。健太さんも、さらには子どもたちも、以前よりも家のことを手伝うようになったといいます。
東京都産業労働局が既婚・と内在筋緒の女性パートタイム労働者に聞いた『いわゆる「年収の壁」に関する都民意識調査』によると、40代では週「15時間勤務未満」が55.9%。「週15~20時間未満」が10.9%、「20~25時間未満」が6.9%、「25~30時間未満」が5.8%、「30~35時間未満」が8.3%、「35時間以上」が12.2%。また「意識して扶養の範囲で働いている」が40代では47.3%。一方で「すでに壁を超えている」は37.9%でした。
また「壁を意識せずに働くことができたら、年収であとどの程度働きたいか」の問いに対しては、40代で「10万円未満」が48.3%、「10万~20万円未満」が22.0%、「20万~30万円未満」が13.2%、「30万~50万円未満」が9.8%。「100万円以上」は4.4%でした。
そして「配偶者との家事や育児等の役割分担は?」に対しては、「自分がほぼすべて負担」が52.0%、「分担しているが自分の割合が大きい」が27.5%で、「家事や育児は妻まかせ」という傾向が強いことがわかります。
年収の壁を意識して働くケースが多い、子育て世帯のパート妻。それが本意か不本意かは、夫の稼ぎ次第という一面も。健太さんの給与は、月収で40万円、年収で650万円。厚生労働省の調査によると、40代前半・大卒サラリーマンの平均月収は月42.4万円、年収704.1万円。健太さん、わずかながら平均を下回っています。
「夫がもっと稼いでくれたらパートになんか出なくてもいいのに」と思うときもあれば、「家事や子育てを手伝ってくれたらもっと稼げるのに」と思うときもあり、夫とは違うストレスを抱えているパート妻。夫も「俺のほうが稼いでいるんだから」と思う気持ちもわからなくもないですが、まずは妻の苦労を理解する姿勢が必要です。
[参考資料]